人とのつながり

離婚や別居から立ち直れない。気持ちを書き出せば楽になる?別居して数か月の米国の90人の実験では、深く書き出した組のほうが、3か月後のつらさの下がり方が小さかった

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理
朝の静かな湖
Photo: DocHolliday2018 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

離婚や別居から何か月たっても、気持ちが落ち着かない。「つらい気持ちは書き出すといい」と聞いて、ノートに向かう人もいるでしょう。ところが、別居したばかりの大人を対象にした実験では、気持ちを深く書き出すことが、立ち直りの助けにはなっていませんでした。考え込みやすい人では、むしろ不利に働いていました。

3行でわかる

  1. 別居して平均3.8か月の米国の90人の実験では、別れについて深い気持ちを書いた組は、1日の過ごし方を淡々と書いた組より、3か月後のつらさと落ち込みの下がり方が小さかった。
  2. その差は、ふだんから考え込みやすい人で目立ち、考え込みにくい人では書き方による差がなかった。8か月後も、考え込みやすい人では同じ傾向が残っていた。
  3. どの組でも、つらさは最初の3か月で大きく下がっていた。別れた相手と直接会う時間が多い時期のあと、つらさが高めだったという研究もある(子どもがいない人で)。

01 結論から言うと離婚のつらさは、書き出せば軽くなる?

別居して間もない時期に、気持ちを深く書き出すことで立ち直りが早まるという結果は出ていません。米国の実験では、深く書いた組のほうがつらさの下がり方が小さく、考え込みやすい人でその傾向が目立ちました。

気持ちを書き出す方法は「エクスプレッシブ・ライティング」と呼ばれます。つらい出来事について、心の奥の気持ちと考えを、1回20分ほど続けて書く方法です。この論文が紹介しているまとめでは、いろいろなストレスの研究で、小さいながら確かな効果が報告されてきました。

けれども、別居や離婚の直後の大人で確かめたアリゾナ大学の実験では、期待とは逆の結果でした。研究者は、出来事がまだ生々しい時期に深く書くと、自分のつらさに注意が向き直り、かえって苦しさが強まる可能性を挙げています。書くこと自体が悪いのではなく、時期と人によって合う・合わないがある、というのがこの研究の示したことです。

02 研究とデータでわかっていること別居のあと、立ち直りを遅らせやすいのは何?

考え込みやすい人が気持ちを深く書くことと、子どもがいない人で別れた相手と直接会う時間が多いことが、あとのつらさの高さと結びついていました。どちらも少人数の米国の研究です。

90人別居して平均3.8か月の米国の大人(平均40.4歳、結婚期間は平均13.5年)。3か月後まで追えた人数
14.0→8.3同じ90人の落ち込みの点数の平均。最初と3か月後(8か月後まで答えた人では6.9)
20分×3日実験で書いた時間。1日目は研究室、2・3日目は家で手書きの日記に書いた
122人別居した米国の大人の週末の音声を録って、別れた相手と会う時間を調べた研究の人数

Sbarra ら(アリゾナ大学、2013)[1]

別居したばかりの大人を3つの組に分け、3日間、1日20分ずつ書いてもらいました。別れについての深い気持ちを書く組、別れを「始まり・途中・これから」の物語として書く組、感情を交えずに1日の過ごし方を書く組です。3か月後、気持ちを書いた2つの組は、過ごし方を書いた組よりも、別れにまつわるつらさと落ち込みの点数が高くなっていました。全員の点数が下がる中で、下がり方が小さかったという意味です。この差は、ふだんから考え込みやすい人で目立ちました。考え込みにくい人では、どの組でも差がありませんでした。8か月後には全体での差ははっきりしなくなりましたが、考え込みやすい人では、気持ちを書いた組のほうがつらさが高いままでした。

対象: 米国の別居・離婚した大人90人(男性32人、女性58人)。8か月後まで答えたのは71人 / 限界: 何も書かない組がないため、深く書いたことが不利だったのか、過ごし方を書いたことが有利だったのかは区別できません。つらさは本人の回答だけで測っています。

O'Hara ら(アリゾナ大学ほか、2020)[2]

別居した大人に小さな録音機を身につけてもらい、週末の起きている間、12分ごとに30秒ずつ音を録りました。別れた相手と同じ場所でやりとりしている時間は、平均で録音の1〜2%ほどでした。その人のふだんより直接会う時間が多かった時期のあと、2か月後の別れにまつわるつらさが高くなっていました。ただし、この関連が見られたのは、相手との間に子どもがいない人だけでした。子どもがいる人では、関連は見られませんでした。

対象: 米国の別居した24〜65歳の122人(平均43.8歳、男性35人、女性87人)。別居から1・3・5か月の3回、週末に録音 / 限界: 相関の研究で、会ったからつらくなったとは言えません。電話やSNSでのやりとりは数えていません。著者も少人数で再現が必要としています。

Bourassa ら(アリゾナ大学ほか、2017)[3]

[1]と同じ実験に参加した109人で、体の反応を調べました。別れを物語として書いた組は、過ごし方を書いた組に比べて、7.5か月後の心拍数が低く、心拍の揺らぎ(ゆったりした状態で大きくなる指標)が大きくなっていました。効果の大きさは中くらいでした。気持ちを深く書いた組は、過ごし方を書いた組と差がありませんでした。血圧はどの組も差がありませんでした。

対象: 米国の別居・離婚した大人109人 / 限界: 体の指標の結果で、本人が感じるつらさの結果とは一致していません。同じ研究グループの1つの実験です。

03 まだわかっていないこと書き出すのは、やめたほうがいい?

やめたほうがいいとまでは言えません。調べたのは別居直後の3日間の書き方だけで、時間がたってから書く場合や、日記・AIとのやりとりは調べられていません。研究も同じグループの少人数のものに限られます。

  • 何も書かない組がないため、「深く書くと不利」なのか「過ごし方を書くと有利」なのかは、わかっていません。
  • 物語として書く方法は、本人が感じるつらさには差がなく、心拍の指標ではよい結果でした。どちらを重く見るべきかは、まだ決められません。
  • 研究はすべて米国のもので、男性が少なく、日本の人や、AIに気持ちを打ち明ける書き方を調べた研究は見当たりませんでした。
  • 別れた相手と会うことの研究は相関で、子どもに関する用事など、会う理由による違いもわかっていません。

04 今日からできるセルフケア離婚や別居のあと、何から立て直せばいい?

気持ちを無理に掘り下げるより、毎日の過ごし方を整えることから始められます。研究で比べた「過ごし方を淡々と書く」方法は、お金をかけずにすぐ試せます。つらさは数か月単位で軽くなっていくことが多い、と知っておくことも助けになります。

1

昨日の過ごし方を、感情を入れずに書く

起きた時間、食べたもの、行った場所を、事実だけ順番に書きます。研究で比べられた書き方で、考え込みやすい人では、気持ちを深く書くよりつらさが低い結果でした。

目安 1日10〜20分、3日間

2

書いていて同じ「なぜ」が回り始めたら、ペンを置く

「なぜこうなったのか」を何度も問い直す考え込みは、深く書く方法と相性が悪い結果でした。気づいたら書くのをやめて、立ち上がる・外を歩くなど体を動かします。研究から考えた工夫です。

目安 気づいたときに5分

3

これからの1週間の予定を、小さく1つ入れる

研究者は、過ごし方を書くことが、毎日の生活に戻るきっかけになった可能性を挙げています。散歩、買い物、人に会うなど、15分でできる予定を1つ決めて書き込みます。

目安 週1回、5分

4

1か月ごとに、つらさを10点満点でメモする

研究では、つらさは最初の3か月で大きく下がっていました。毎日の上下ではなく月ごとに比べると、少しずつの変化に気づきやすくなります。

目安 月1回、1分

若い人の失恋の研究は「失恋から立ち直れない」で、人とのつながりを取り戻す研究は「孤独な時期が長引いて、どこから人とつながり直せばいいかわからない」で紹介しています。話せる相手を増やしたいときは「昔の友達に連絡したいけど気まずい」も参考になります。

05よくある質問

離婚や別居のあと、立ち直るまでどれくらいかかりますか?

人によって違います。別居して平均3.8か月の米国の90人の研究では、どの書き方の組でも、つらさや落ち込みの点数は最初の3か月で大きく下がり、その後の下がり方はゆるやかでした。

離婚のつらい気持ちを、ノートやAIに書き出すのはよくないですか?

よくないとは言い切れません。研究で試されたのは、手書きの日記に1回20分・3日間、深い気持ちを書く方法でした。ノートに日々書くことやAIとのやりとりは調べられていません。書いていて同じ問いが何度も回るなら、いったん止めて別のことに切り替えるのが一つの方法です。

別れた相手とは、会わないほうが立ち直りやすいですか?

はっきりとは言えません。米国の122人の研究では、子どもがいない人で、直接会う時間が多かった時期の2か月後にはつらさが高めでしたが、相関で因果はわかりません。子どもがいる人では、この関連は見られませんでした。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Sbarra, D. A., Boals, A., Mason, A. E., Larson, G. M., & Mehl, M. R. (2013). Expressive Writing Can Impede Emotional Recovery Following Marital Separation. Clinical Psychological Science. https://doi.org/10.1177/2167702612469801
  2. O'Hara, K. L., Grinberg, A. M., Tackman, A. M., Mehl, M. R., & Sbarra, D. A. (2020). Contact with an Ex-partner is Associated with Psychological Distress after Marital Separation. Clinical Psychological Science. https://doi.org/10.1177/2167702620916454
  3. Bourassa, K. J., Allen, J. J. B., Mehl, M. R., & Sbarra, D. A. (2017). Impact of Narrative Expressive Writing on Heart Rate, Heart Rate Variability, and Blood Pressure After Marital Separation. Psychosomatic Medicine. https://doi.org/10.1097/PSY.0000000000000475