人とのつながり

孤独な時期が長引いて、体を動かす気にもなれない。ノルウェーの学生5万9,544人の調査では、週に何度も運動する人ほど「孤立している」と感じる人が少なかったが、運動を増やせば孤独が減るかはまだわからない

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針1件を整理
緑の森に横たわる大きな木の根
Photo: H. Zell / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

人と会わない日が続くと、気持ちだけでなく体まで重くなり、外に出る気力もなくなっていきます。「運動すると気分が晴れる」とはよく聞きますが、孤独な気持ちにも関係があるのでしょうか。大規模な調査と長い追跡の研究から、わかっていることと、まだわからないことを分けて整理しました。

3行でわかる

  1. ノルウェーの学生59,544人の調査(2022年)では、週に何度も運動する人ほど「孤立している」とよく感じる人が少なく、運動しない人に比べて見込み(オッズ)が半分ほどだった。
  2. 米国の50歳以上の約2万人を16年追った研究では、週1回以上の中くらいの運動が2年後の孤独の少なさとわずかに関連していたが、一人ひとりが運動を増やしても孤独は変わっていなかった。
  3. 運動を増やせば孤独が減るとは、まだ言えない。ただ、同じ人と同じ場所で、気軽に体を動かす機会は、つながりを取り戻す入り口の一つになりうる。

01 結論から言うと孤独が長引いたとき、運動は役に立つ?

運動する人ほど孤独が少ないという関連は、大きな調査ではっきり出ています。ただし、運動を始めれば孤独が減るのかは、まだ確かめられていません。運動は「孤独の薬」ではなく、人と出会い直す場のひとつと考えるのが研究に近い見方です。

ノルウェーの調査では、運動の回数が多い人ほど「孤立している」と感じる人が少なくなっていました。一方、米国の長い追跡では、運動を増やした人の孤独が、その人のふだんより下がることはありませんでした。2つの結果は矛盾しているように見えますが、「もともと運動している人は孤独が少ない」ことと「運動を増やすと孤独が減る」ことは、別の問いだということです。

研究者たちは、運動そのものより、運動を通じて人と顔を合わせる機会が大事なのではないかと考えています。そのため、体を動かすなら、人とゆるく関われる形を選ぶのがひとつの手がかりになります。

02 研究とデータでわかっていること運動する人は、本当に孤独が少ない?

ノルウェーの学生の調査では、運動の回数・強さ・時間のどれが多くても、孤独を感じる人は少なめでした。ただし米国の追跡では、運動を増やした人の孤独は変わらず、孤独な人が運動を減らすという関係も見られませんでした。

59,544人運動と孤独の関係を調べた、ノルウェーの18〜35歳の大学生などの数(2022年)
19.1%そのうち「孤立している」と感じることが「よく」「とてもよく」あると答えた人の割合(同じ調査)
0.43倍週4〜5回運動する女性の、運動しない女性と比べた「孤立している」と感じる見込み(オッズ)。生活習慣などを考慮した値
20,134人運動と孤独を2002〜2018年に追った、米国の50歳以上の人の数

Blindheim ら(2026)[1]

ノルウェーの全国の学生健康調査で、運動の回数・強さ・時間と、孤独の3つの面(話し相手がいない、取り残されている、孤立している)との関係を調べました。年齢・恋人の有無・睡眠・飲酒・喫煙などを考慮しても、運動する人ほど孤独を感じる人が少なく、いちばん関連が強かったのは運動の回数と「孤立している」感じでした。「孤立している」と感じる見込みは、運動しない人と比べて、女性では週2〜3回で0.48倍、週4〜5回で0.43倍、男性では週2〜3回で0.58倍、ほぼ毎日で0.47倍でした。週1回でも、女性で0.53倍、男性で0.67倍と、少なめでした。汗をかく・息がはずむくらいの強さは、ゆっくりした運動と比べて孤独の少なさと関連していました(0.65〜0.76倍)。

対象: ノルウェーでフルタイムで学ぶ18〜35歳の学生59,544人(招待した人の35.1%が回答) / 限界: 1回だけの調査なので、運動が孤独を減らすのか、孤独でない人が運動しやすいのかは区別できません。運動の種類や、誰と運動したかは調べていません。

Surkalim ら(2024)[2]

米国の50歳以上の人を2年ごとに調べる全国調査のデータで、運動と孤独が、その後の互いにどう関わるかを調べました。週1回以上、歩く・踊るなどの中くらいの運動をしている人は、2年後に孤独を感じる可能性が6%低くなっていました(走るなどの激しい運動では関連なし)。ところが、一人ひとりについて「その人のふだんの状態」を考慮すると、運動を増やしても孤独はその人のふだんより下がらず、孤独な時期のあとに運動が減ることもありませんでした。研究チームは、運動を増やすだけで孤独が減ると結論できる証拠はないとしています。

対象: 米国の50歳以上の20,134人(2002〜2018年) / 限界: 孤独は「先週、孤独を感じたか」の1問、運動は回数だけで測っており、誰と運動したかはわかりません。調査は2年おきで、その間の変化はとらえられていません。

Yu・Zhou・Cai(2026)[3]

グループで体を動かす取り組みが孤独を減らすかについて、これまでの研究を整理しました。同じくらいの運動量でも孤独への効果は研究によって大きく違い、運動の量だけでは説明できないとしています。代わりに、同じメンバーで何度も顔を合わせる、決まった流れがある、安心していられる雰囲気がある、といった「人とつながる機会の量」に注目すべきだと提案しています。また、うまさが求められる活動は初めての人に気後れを生みやすく、ウォーキングの会や初心者向けのダンスのように入りやすい活動のほうが、最初の「ここにいていい」感覚を育てやすいのではないかと述べています。

対象: 社会心理学・運動科学・公衆衛生の研究をまとめた論文(新しい実験ではありません) / 限界: 著者ら自身が、研究どうしで方法がばらばらで、グループ運動が孤独を減らすという因果の証拠はまだそろっていないと書いています。

運動の量の目安としては、WHO(世界保健機関)の2020年の指針が、大人は1週間に合計150〜300分の中くらいの運動をすること、そして少しでも体を動かすことは何もしないよりよいことを示しています[4]。この指針は体と心の健康全般についてのもので、孤独を減らすための量を示したものではありません。

03 まだわかっていないこと運動を始めれば、孤独は減っていく?

まだわかっていません。運動と孤独の関連はくり返し見つかっていますが、運動を始めた人の孤独が減るのかを確かめた、若い大人や働く世代の試験はほとんど見つかりませんでした。

  • ノルウェーの調査は1回きりの調査で、運動と孤独のどちらが先かはわかりません。孤独でない人のほうが運動に誘われやすい、という逆の流れもありえます。
  • 米国の追跡では、全体では関連があっても、運動を増やした人の孤独は変わりませんでした。年齢(50歳以上)や孤独の測り方(1問だけ)が違うと、結果が変わる可能性もあります。
  • 一人で走るのと、仲間と歩くのとで違いがあるかは、どちらの調査でも調べられていません。
  • グループ運動の「つながる機会」に注目する考え方は提案の段階で、どの工夫が効くかはこれから試される段階です。

04 今日からできるセルフケア孤独なとき、どう体を動かすといい?

完璧な運動計画は要りません。週1回の決まった散歩から始めること、少し息がはずむくらいの強さにすること、同じ時間・同じ場所でくり返して顔見知りを作ることが、研究から考えられる工夫です。

1

週に1回、決まった曜日に外を歩く

まずは曜日と時間を1つだけ決めて、近所を歩きます。ノルウェーの調査では、週1回でも、運動しない人より「孤立している」と感じる人が少なめでした(原因かどうかはまだわかりません)。

目安 週1回・20〜30分

2

少し息がはずむくらいの速さにする

話はできるけれど歌うのは苦しい、くらいの速さで歩きます。ノルウェーの調査では、汗をかく・息がはずむくらいの強さで、ゆっくりした運動より孤独が少ない関連がありました。米国の追跡でも、関連が見られたのは歩くなどの中くらいの運動でした。

目安 1回のうち10分ほど

3

同じ時間・同じ場所で続け、会釈から始める

同じ公園や道を同じ時間に歩くと、よく会う人ができます。会釈やあいさつ一言からで十分です。慣れてきたら、地域のウォーキングの会など、初心者が入りやすい集まりを1つ調べてみます。研究の整理では、同じ人と何度も顔を合わせることが、つながりの手がかりとして挙げられていました(効果はまだ試されている段階です)。

目安 2〜4週間続けてから

孤独で気持ちが沈んだまま戻らないときのほかの手がかりは「孤独な時期が続いて、気持ちが沈んだまま戻らない」、地域の活動から人とつながり直す研究は「どこから人とつながり直せばいいかわからない」で紹介しています。

05よくある質問

一人で運動しても、孤独には意味がありますか?

まだはっきりしません。今回の調査はどちらも、一人で運動したか人と一緒だったかを区別していませんでした。ノルウェーの論文は、体を動かすことは一人で行う場合でも孤独の悪い影響を和らげうると述べ、歩くなどの中くらいの活動が、人と離れていることの悪い影響の小ささと関連したという先行研究を紹介しています。一方、研究の整理では、人と顔を合わせる機会が大事なのではないかと考えられています。

どのくらい運動すれば、孤独が減りますか?

孤独を減らすための運動量は、まだわかっていません。ノルウェーの調査では回数が多いほど孤独が少ない傾向でしたが、原因かどうかは不明です。体と心の健康全般の目安としては、WHOが大人に週150〜300分の中くらいの運動を勧め、少しでも動くことは何もしないよりよいとしています。

運動する気力すらないときは、どうすればいいですか?

無理に始めなくて大丈夫です。窓を開けて外の空気を吸う、家の前まで出てみるなど、ごく短い動きからで構いません。気力が出ない状態や気分の落ち込みが2週間以上続くときは、一人で抱えずに相談先を頼ることも考えてください。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Blindheim, S., Johnsen, T. L., Grasdalsmoen, M., Sivertsen, B., & Eriksen, H. R. (2026). Physical exercise and loneliness in higher education: a national study of Norwegian students. BMC Psychology, 14, 452. https://doi.org/10.1186/s40359-026-04183-4
  2. Surkalim, D. L., Clare, P. J., Eres, R., Gebel, K., Bauman, A. E., & Ding, D. (2024). Exercise to socialize? Bidirectional relationships between physical activity and loneliness in middle-aged and older American adults. American Journal of Epidemiology, 193(7), 996-1001. https://doi.org/10.1093/aje/kwae001
  3. Yu, L., Zhou, B., & Cai, J. (2026). From exercise dose to social dose: a narrative review of the components, mechanisms, and design principles of group-based physical activity interventions to reduce loneliness. Frontiers in Psychology, 17, 1843858. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1843858
  4. Bull, F. C., et al. (2020). World Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour. British Journal of Sports Medicine, 54(24), 1451-1462. https://doi.org/10.1136/bjsports-2020-102955