人とのつながり

寂しい夜、温かいお風呂に入ると心も温まる?「寂しい人ほど温かいお風呂やシャワーを好む」という研究は、9件の追試では確かめられず、結果が分かれている

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わかっている度 ★☆☆ 低研究5本・公的指針0件を整理
静かな浴室の浴槽
Photo: Basile Morin / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

人と話さないまま一日が終わった夜、なんとなく熱いお風呂に長く浸かりたくなる。「体が温まると、心の寂しさも少しまぎれる」と感じる人もいるかもしれません。結論から言うと、寂しい人ほど温かいお風呂やシャワーを好むという研究はありますが、別の研究者による9件の追試では、その関連は確かめられませんでした。体の温かさで心が温まるという有名な実験も、追試では効果がほぼゼロでした。お風呂はほっとする時間として大切にしつつ、寂しさそのものには、研究のまとめで手応えのあった別の手も組み合わせるのが現実的です。

3行でわかる

  1. 2012年の研究では、寂しさが強い人ほど温かいお風呂やシャワーを好む関連が報告され、研究者らは体の温かさが人とのつながりの温かさの「代わり」になると考えた。
  2. 別の研究者による9件の追試では、1,153人(4件)でも1,920人(5件)でも、寂しさとお風呂の好みの関連は見られなかった。最初の研究者らの3件の追試では関連はあったが、最初より小さかった。
  3. 寂しさを減らす方法の研究のまとめでは、くじで組を分けた研究の中で、人づきあいについての考え方のくせに働きかける方法がもっともうまくいっていた。

01 結論から言うと寂しいとき、温かいお風呂で気持ちは和らぐ?

研究からは、まだ言えません。寂しい人ほど温かいお風呂を好むという研究はありますが、9件の追試では関連が確かめられず、結果が分かれています。お風呂が心地よいこと自体を否定するものではありません。

「人の温かさ」と「体の温かさ」は、言葉の上だけでなく心の中でもつながっている、という考え方があります。ある研究者らは、寂しい人は無意識のうちに、お風呂やシャワーで体を温めて、足りない人とのつながりの温かさを補っているのではないかと考えました。

この考え方は話題になりましたが、その後、ほかの研究者が同じ方法で確かめ直す追試を何度も行い、結果は分かれています。今の時点では、「温まれば寂しさが和らぐ」と言える十分な根拠はありません。

02 研究とデータでわかっていること体の温かさと寂しさについて、研究で何がわかった?

最初の研究では、寂しい人ほど温かいお風呂を好む関連が見られました。しかし別の研究者による9件の追試では関連が見られず、温かいコーヒーで人を温かく感じるという実験も、追試では効果がほぼゼロでした。

9件寂しさとお風呂・シャワーの好みの関連を確かめ直した追試の数。関連は見られなかった(2015年発表)
3件最初の研究者らが追加で行った追試(インド・イスラエル・北米)。関連はあったが最初より小さかった(2015年発表)
128人・177人温かいコーヒーと温熱パッドの2つの実験を、元の約3倍の人数で確かめ直した追試。効果はほぼゼロだった(2019年発表)

BarghとShalev(2012年)[1]

4つの研究を報告しました。1つめでは、ふだんの寂しさが強い人ほど、温かいお風呂やシャワーを好む傾向と関連していました。2つめでは、体を冷やす体験をすると、寂しさの気持ちが強まっていました。

3つめでは、過去に人から拒まれた経験を思い出してもらうと、人とつながりたい気持ちや気分を立て直したい気持ちが高まりましたが、間に体を温める体験をはさむと、その高まりは見られなくなりました。4つめでは、人はこの結びつきに気づいていないことが示されました。研究者らは、体の温かさと人とのつながりの温かさは、ある程度代わりになり合うと考えました。

対象: 4つの研究の参加者 / 限界: 1つめは寂しさと入浴の好みの関連を見たもので、原因と結果はわからない。参加者の人数が少なめだった点が、のちに指摘されている。

Donnellanら(2015年)[2]

上の研究の1つめを、9件の研究で確かめ直しました。自分たちが作った入浴の質問と最新の寂しさの尺度を使った4件(合わせて1,153人)では、寂しさとお風呂・シャワーの好みに関連は見られませんでした。

元の研究と同じ質問を使った5件(合わせて1,920人)でも、関連ははっきりしませんでした。元の研究も含めてまとめると、関連の大きさは「ゼロかもしれない」範囲に入っていました。

対象: 9件の研究の参加者(4件で1,153人、5件で1,920人) / 限界: 確かめたのは寂しさと入浴の好みの関連で、温まったあとに寂しさが減るかを試したものではない。

ShalevとBargh(2015年)[3]

最初の研究者らは反論として、インド、イスラエル、北米の参加者で3件の追試を行いました。3件とも、寂しさと、お風呂やシャワーで体を温めることの間に関連が見られました。

ただし研究者ら自身も、関連の大きさは最初の研究より小さいと認めています。

対象: インド・イスラエル・北米の参加者による3件の追試 / 限界: 最初の研究者ら自身による追試で、関連の大きさは最初の研究より小さかった。

Chabrisら(2019年)[4]

「温かいコーヒーを持つと相手を温かい人柄だと感じ、温かい温熱パッドを持つと友達のために贈り物を選びやすい」という有名な2つの実験(元は41人と53人)を、約3倍の128人と177人で確かめ直しました。実験する人も参加者も条件を知らない形で行いました。

結果は2つとも、効果はほぼゼロでした。データからは、効果がないという見方のほうが、より強く支持されていました。

対象: 2つの追試で128人と177人 / 限界: 人の印象や贈り物の選び方を調べたもので、寂しさそのものは測っていない。

Masiら(2011年)[5]

寂しさを減らすための方法を調べた研究をまとめました。方法は大きく、人づきあいの技術を高める、支えを増やす、人と接する機会を増やす、人づきあいについての考え方のくせに働きかける、の4つに分けられました。

くじで組を分けた研究では、そうでない研究より効果が小さく出ていました。そのくじで組を分けた研究の中で、もっともうまくいっていたのは、考え方のくせに働きかける方法でした。

対象: 寂しさを減らす方法を調べた研究のまとめ / 限界: 2011年までの研究のまとめ。どの考え方の練習が誰に合うかまでは、この記事の範囲では確かめていない。

03 まだわかっていないこと温かさと寂しさについて、まだわかっていないことは?

寂しい夜に温まると、その後の寂しさが減るのかは、ほとんど調べられていません。寂しさと入浴の好みの関連も、研究者によって結果が分かれ、決着していません。

  • 追試の多くは「寂しさと入浴の好みが関連するか」を調べたもので、温まったあとに寂しさが減るかを直接試した研究ではありません。
  • 最初の研究者らの追試では小さな関連が見られ、別の研究者の追試では見られませんでした。国や質問の仕方で結果が変わるのかは、まだはっきりしません。
  • 最初の研究の3つめでは、温まると人とつながりたい気持ちの高まりが見られなくなりました。これが寂しさが和らいだしるしなのか、人に会いたい気持ちが弱まっただけなのかは、わかっていません。

04 今日からできるセルフケア寂しい夜、どう過ごせばいい?

お風呂やシャワーは、ほっとする時間として大切にしてかまいません。そのうえで、寂しさそのものには、考え方のくせに目を向ける・人に短く連絡するなど、別の手も1つ組み合わせます。

1

お風呂は「ほっとする時間」として使う

寂しさを消すためでなく、一日の緊張をほどく時間として、ゆっくり温まります。温まれば寂しさが消えるはず、と期待しすぎないことも大切です。

目安 10〜15分

2

浮かんだ考えを書き出し、別の見方を1つ添える

「誰も自分を気にしていない」のような考えが浮かんだら、紙に書き出し、「昨日は○○さんから連絡があった」など別の見方を1つ書き添えます。考え方のくせに働きかける方法が、研究のまとめでもっともうまくいっていました。

目安 3分

3

温まったあとに、1人へ短い連絡をする

体が温まって落ち着いたら、誰か1人に「元気?」と短く送ります。人と接する機会を増やすことも、研究のまとめで取り上げられた方法の1つです。

目安 2分・1人だけ

寂しさとの付き合い方は寂しさを受け入れる練習の研究、連絡のきっかけは久しく話していない友達への連絡の記事でも紹介しています。人とのふれあいについては触れられると不安が和らぐ研究も参考になります。

05よくある質問

寂しいとき、熱いお風呂に入りたくなるのはなぜ?

理由ははっきりしていません。体の温かさで人とのつながりの温かさを補っている、という説がありますが、別の研究者による9件の追試では、寂しさとお風呂やシャワーの好みの関連は見られませんでした。単に疲れていて、くつろぎたいだけの可能性もあります。

お風呂に入ると、寂しさは減る?

研究ではまだ確かめられていません。温まったあとに寂しさが減るかを直接試した研究は、ほとんどありません。お風呂は心地よい時間として大切にしつつ、寂しさには別の手も組み合わせるのが現実的です。

温かい飲み物を持つと、人に優しくなれるって本当?

はっきりした根拠はありません。2008年の有名な実験では、温かいコーヒーを持った人が相手を温かい人柄だと感じていましたが、約3倍の人数で確かめ直した2019年の追試では、効果はほぼゼロでした。

寂しさを減らすのに、研究で手応えがあった方法は?

寂しさを減らす方法の研究のまとめでは、くじで組を分けた研究の中で、「どうせ嫌われている」のような人づきあいについての考え方のくせに働きかける方法が、もっともうまくいっていました。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Bargh JA, Shalev I (2012). The substitutability of physical and social warmth in daily life. Emotion, 12(1), 154-162. https://doi.org/10.1037/a0023527
  2. Donnellan MB, Lucas RE, Cesario J (2015). On the association between loneliness and bathing habits: Nine replications of Bargh and Shalev (2012) Study 1. Emotion, 15(1), 109-119. https://doi.org/10.1037/a0036079
  3. Shalev I, Bargh J (2015). On the association between loneliness and physical warmth-seeking through bathing: Reply to Donnellan et al. (2014) and three further replications of Bargh and Shalev (2012) Study 1. Emotion, 15(1), 120-123. https://doi.org/10.1037/emo0000014
  4. Chabris CF, Heck PR, Mandart J, Benjamin DJ, Simons DJ (2019). No evidence that experiencing physical warmth promotes interpersonal warmth: Two failures to replicate Williams and Bargh (2008). Social Psychology, 50(2), 127-132. https://doi.org/10.1027/1864-9335/a000361
  5. Masi CM, Chen HY, Hawkley LC, Cacioppo JT (2011). A meta-analysis of interventions to reduce loneliness. Personality and Social Psychology Review, 15(3), 219-266. https://doi.org/10.1177/1088868310377394