友達と会っているのに、ついスマホを見てしまう。ドイツの165人の実験では、10分の会話でスマホを3回見た相手は、1回のときより「話を聞いていない」と受け取られていた

久しぶりに友達とごはんに行ったのに、気づくとテーブルの上のスマホに手が伸びている。通知が鳴ればつい確かめてしまうし、話が途切れた数秒にも画面を開いてしまう。悪気はないのに、あとで「感じが悪かったかも」と気になる人は少なくありません。研究では、1回ちらっと見るより、何度も見ることのほうが相手の受け止め方を変えていました。
3行でわかる
- ドイツの大学の実験(165人)では、10分の会話で相手がスマホを3回見ると、1回のときより「話を聞いていない」「仲間外れにされた」と感じられやすかった。
- 1回だけ約11秒見たときは、「話を聞いてくれる」という評価は、スマホを見なかった相手と変わらなかった。ただ「仲間外れにされた感じ」はわずかに上がっていた。
- 実験は初対面どうしの短い会話で、親しい友達との長いつきあいに同じことが言えるかは、まだわかっていない。
01 結論から言うと友達といるときのスマホは、関係に響く?
回数が増えると響きやすい、というのが研究の答えです。ドイツの実験では、10分の会話でスマホを3回見た相手は、1回だけの相手より「話を聞いていない」「礼儀に欠ける」と受け取られていました。
会話の途中でスマホに目を移すことを、研究では「ファビング」と呼びます。電話(phone)と、冷たくあしらう(snub)を合わせた言葉です。
ファビングは、ほんの短い「無視」として受け取られることがある、と考えられています。人は、仲間外れにされる小さな合図にも敏感に反応するからです。
ただし、スマホを一度も見てはいけない、という話ではありません。実験では、1回だけ短く見たときの「話を聞いてくれる」という評価は、見なかったときと差がありませんでした。気をつけたいのは、回数が積み重なることです。
02 研究とデータでわかっていることスマホを何回見ると、相手の受け止め方が変わる?
ドイツの165人の実験では、10分の会話で3回スマホを見た相手は、1回の相手より「話を聞いていない」と評価され、仲間外れにされた感じも強くなっていました。1回だけなら、聞いてくれる印象は見ないときと変わりませんでした。
Knausenbergerら / ドイツ・ミュンスター大学(2022年)[1]
実験室で、参加者が初対面の相手と10分間話しました。相手は実は研究の協力者で、会話の途中で1回(約6分後)か3回(約3・6・9分後)、スマホを手に取りました。比べるために、スマホの代わりに水を3回飲むだけの組も作りました。
3回スマホを見られた組では、1回の組より「仲間外れにされた」と感じる度合いが高くなっていました(5段階で平均1.88と1.20)。スマホを見なかった組は1.02で、1回の組でもわずかに高くなっていました。
「話をよく聞いてくれる」という評価は、3回の組で5.56、1回の組で6.25、見なかった組で6.24でした(7段階)。下がったのは3回の組だけでした。
会話のあと、相手にくじを何枚渡すかを決めるゲームでは、3回の組は10枚中平均7.09枚と、1回の組(8.16枚)より少なく渡していました。くじは相手に渡すと3倍になり、相手が返してくれるかは相手しだい、というしくみで、相手をどれだけ信頼したかを見るものです。ただし、見なかった組との差ははっきりしませんでした。
同じ論文のもう1つの調査では、170人に過去の会話を思い出してもらいました。自分がスマホを見たときのことを思い出した人は、相手が話をよく聞いてくれた会話を思い出した人より、気分が低めでした。
対象: 実験は165人(女性118人、男性47人、平均23.9歳)、思い出す調査は170人(平均29.3歳) / 限界: 相手は初対面の協力者で、会話は10分だけ。思い出す調査では、スマホを見たから気分が下がったのか、気分が沈んでいたからスマホを見たのかは区別できない。
Stevicら / 米国・スタンフォード大学、オーストリア・ウィーン大学(2025年)[2]
18〜70歳の263人が、2人の会話の動画を見ました。片方が相手の話の最中に15秒ずつ2回スマホを見る動画と、見ない動画をくじ引きで割り当て、話題も雑談か深刻な話かで分けました。
スマホを見た人は「ふさわしくない振る舞いをした」と評価され、その差ははっきりしていました。話題が雑談でも深刻な話でも、評価に違いはありませんでした。会話の質が低いと感じた度合いは、女性の参加者で強く出ていました。
対象: 18〜70歳の263人(平均36.8歳) / 限界: 自分が話している場面ではなく、他人の会話の動画を見て評価したもの。動画の中の2人はどちらも女性だった。
Candarら / トルコ・アタテュルク大学(2026年)[3]
トルコの大学の学生と教職員916人に、対面で質問票に答えてもらった調査です。会話中に自分がスマホに目を移しやすい人ほど、人とのコミュニケーションの質を低く答える関連がありました。
自分がスマホを見る傾向は、年代が若いほど高くなっていました。一方、相手にスマホを見られる経験の多さは、年代で差がありませんでした。
対象: トルコの公立大学の学生と教職員916人 / 限界: 一度きりの調査で、因果はわからない。関連は小さく、コミュニケーションの質のちがいの約2%しか説明していない。
03 まだわかっていないこと親しい友達どうしでも、同じことが言える?
まだわかっていません。実験は初対面の相手との10分の会話や、他人の会話の動画を見る形でした。長いつきあいの友達や家族とのあいだで、スマホの回数が関係をどう変えていくかは、ほとんど調べられていません。
- 165人の実験の相手は初対面の協力者で、親しい友達や恋人どうしの実験ではない。
- 実験は10分だけで、何か月、何年と続くつきあいへの影響は調べられていない。
- 会話の動画の実験は「他人がどう見えるか」の評価で、自分が話している最中の受け止め方とは別。
- 何回までなら気にならないかという線引きは、1回と3回しか比べておらず、わかっていない。
- 日本での実験は見当たらず、日本でスマホがどう受け止められるかは確かめられていない。
04 今日からできるセルフケア友達といるときのスマホ、どう減らす?
完全にやめるより、見る回数を減らす工夫が現実的です。会う前に通知を切る、見る必要があるときは一言断ってから見る、と決めておきます。研究では、1回短く見るだけなら、聞いてくれる印象は変わりませんでした。
会う直前に、通知を切ってかばんにしまう
待ち合わせ場所に着いたら、通知を止めて画面を下にするか、かばんに入れます。実験では、相手が通知音に反応してスマホを見たときも、自分から見たときも、回数が増えると受け止め方が変わっていました。
目安 会う前に30秒
見るなら「ちょっとごめん、1件だけ」と先に言う
どうしても確かめたい連絡があるときは、一言断ってから短く見て、すぐに会話へ戻ります。黙って画面を見ている時間が、ほんの短い「無視」として受け取られやすいためです。
目安 1回10秒ほど
スマホを見たくなったら、相手に1つ質問する
話が途切れて手持ちぶさたになったときは、画面の代わりに「それでどうなったの?」と相手の話を1つ掘り下げます。画面に向かう代わりに、相手に注意を向け直すきっかけにします。
目安 沈黙を感じたら1回
別れたあと、何回見たかを振り返る
帰り道に「今日は何回スマホを見たか」を思い出し、次は1回減らすと決めます。実験で印象を変えていたのは、1回か3回かという回数のちがいでした。
目安 帰り道に1分
パートナーのスマホが気になる人は「ながらスマホ」と2人の関係の研究を、会話が続かないのが不安な人は掘り下げる質問の研究や会話の沈黙の研究を、友達と疎遠になるのが心配な人は友達が離れていく18か月の追跡も参考にしてください。
05よくある質問
友達と会っているときに、スマホを1回見るのも失礼?
ドイツの165人の実験では、10分の会話で相手が1回だけ約11秒スマホを見たとき、「話をよく聞いてくれる」という評価は、スマホを見なかった相手と差がありませんでした。ただ、「仲間外れにされた感じ」は、1回でもわずかに高くなっていました。
通知が鳴ってから見るのと、自分から見るのでは違う?
同じ実験では、通知音が鳴ってからスマホを見た組のほうが、相手に渡すくじの数が少ない傾向がありましたが、はっきりした差とまでは言えませんでした。「気配りがない」という評価の差は見られず、違いは大きくありませんでした。
スマホを見てしまう側にも、悪いことはある?
ドイツの170人の調査では、会話中に自分がスマホを見たときのことを思い出した人は、相手が話をよく聞いてくれた会話を思い出した人より、気分が低めでした。ただし思い出してもらう方法の研究で、スマホを見たから気分が下がったのか、もともと気分が沈んでいたからスマホを見たのかは区別できていません。
雑談ならスマホを見ても許される?大事な話のときだけ気をつければいい?
米国とオーストリアの研究チームによる、18〜70歳の263人のオンライン実験では、会話の動画を見た人が、スマホを見た人を「ふさわしくない」と評価する度合いは、雑談でも深刻な話題でも違いがありませんでした。軽い話のときだけなら大丈夫、とは言えないようです。
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出典
- Knausenberger J, Giesen-Leuchter A, Echterhoff G (2022). Feeling Ostracized by Others' Smartphone Use: The Effect of Phubbing on Fundamental Needs, Mood, and Trust. Frontiers in Psychology. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.883901
- Stevic A, Liftinger H, Matthes J (2025). Observing phubbing behaviors during casual and serious conversations: consequences for conversation quality, connectedness, and appropriateness. BMC Psychology. https://doi.org/10.1186/s40359-025-02426-4
- Candar S, Geçikli F (2026). Phubbing, Being Phubbed, and Interpersonal Communication Quality Across Generations X, Y, and Z: Evidence of a Generational Asymmetry. Behavioral Sciences. https://doi.org/10.3390/bs16091536


