AI疲れ・情報疲れ

画面ばかりの一日で、気分が重い。自然の中で過ごすと前向きな気分が増える、と32件の研究のまとめが示していた

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わかっている度 ★★★ 高研究5本を整理
Nonsuch Park - Surrey - December 2014
Photo: Cristian Bortes from Cluj-Napoca, Romania / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

朝から晩までパソコンとスマホの画面を見て、気づけば外の空気を吸わないまま一日が終わる。そんな日が続くと、なんとなく気分が重くなりませんか。自然の中で過ごす時間と気分の関係は、たくさん調べられてきました。32件の研究をまとめた分析では、自然の中で過ごすと前向きな気分が増え、嫌な気分は少し減っていました。

3行でわかる

  1. 32件・2,356人の研究のまとめでは、自然の中で過ごすと前向きな気分がほどよく増え、嫌な気分は小さいながら一貫して減っていました。
  2. 16件のランダム化比較試験のまとめでは、園芸や屋外での運動など自然の中での活動で、落ち込みや不安の点数が改善していました。
  3. 時間の目安は研究ごとに違い、「1回20〜30分」「週120分以上」という結果があります。ただし週120分は調査からわかった関連で、目安としてはまだ仮のものです。

01結論から言うと

公園や木のある場所など自然の中で過ごすと、前向きな気分が増え、ストレスの指標が下がることが、複数の研究のまとめでそろっています。遠出しなくても、近くの緑で20〜30分が手がかりになります。

自然の中で過ごした人の気分を調べた研究は、数十年分あります。それらをまとめると、前向きな気分が増える方向で結果がそろっています。

体の側でも、ストレスに関わるホルモン(コルチゾール)が下がる結果があります。森林や山だけでなく、町なかの公園や身近な緑を対象にした研究もあります。

一方で、「何分で、どれくらい効くか」はまだはっきりしていません。気分を戻す一つの手として、気軽に試せる範囲で取り入れるのがよさそうです。

02研究とデータでわかっていること

自然の中で過ごすと前向きな気分が増え、自然の中での活動で落ち込みや不安の点数が改善していました。時間の目安は、1回20〜30分、週120分以上という研究があります。

32件自然の中で過ごすことと気分を調べた研究のまとめ(2,356人、2015年)
週120分これ以上自然で過ごした人で、健康や幸福感の良い人が多かった(イングランドの成人19,806人、2019年)
20〜30分ストレスの指標が時間あたり最も効率よく下がった長さ(米国の成人36人、2019年)
16件自然の中での活動を調べたランダム化比較試験(50件の研究のまとめ、2021年)

McMahanとEstes(2015年)[1]

自然の中で短い時間を過ごす研究32件をまとめました。比べた条件に比べて、自然の中で過ごすと前向きな気分がほどよく増え、嫌な気分は小さいながら一貫して減っていました。

対象: 32件・計2,356人 / 限界: 前向きな気分への効果は研究によるばらつきが大きく、気分の測り方、自然との接し方、研究の場所、参加者の年齢で違っていました。

Coventryら(2021年)[2]

園芸、屋外での運動、自然の中でのセラピーなど、決まった形で自然の中で活動する取り組みの研究50件をまとめました。そのうちランダム化比較試験16件の分析では、落ち込み・不安・嫌な気分の点数が下がり、前向きな気分が増えていました。効果が大きかったのは、8〜12週間続け、1回20〜90分の取り組みでした。

対象: 地域で暮らす18歳以上の成人(心の不調がある人を含む) / 限界: 比較対照のない研究なども含まれ、それらは偏りのリスクが中〜高と評価されていました。

Whiteら(2019年)[3]

イングランドの成人約2万人に、この1週間に自然の中で過ごした時間を尋ねました。週120分以上の人は、まったく過ごさなかった人に比べて、健康や幸福感が良いと答える人が多いという関連がありました。関連は週200〜300分あたりで頭打ちでした。1回で120分でも、何回かに分けても、違いはありませんでした。

対象: イングランドの成人19,806人(2014〜2016年の国の調査) / 限界: 一度きりの調査のため因果はわかりません。もともと健康な人ほど外に出やすい可能性もあり、自然の時間で説明できる差は約1%と小さなものでした。

Hunterら(2019年)[4]

都市に住む36人に、8週間、週3回以上・1回10分以上、自然を感じられる屋外の場所で過ごしてもらいました。その前後でだ液を調べると、ストレスに関わるホルモン(コルチゾール)が、1日の自然な下がり方以上に下がっていました。時間あたりで最も効率がよかったのは20〜30分で、それより長くても下がり方はゆるやかに続きました。

対象: 米国ミシガン州の成人36人(22〜68歳、92%が女性) / 限界: 比較のグループがなく、参加者も自分から応募した少人数です。

Twohig-BennettとJones(2018年)[5]

緑地と健康の研究143件をまとめました。緑に多く触れている人や場面では、だ液のコルチゾールや心拍数が低いという関連がありました。コルチゾールの分析は7件・954人分でした。

対象: 20か国の研究(最多は日本の24件) / 限界: 介入研究40件のうち27件は森林浴の研究で、質の低い研究や結果のばらつきが大きい分析も含まれていました。

研究ごとの「時間」を並べると、次のようになります。

03まだわかっていないこと

自然の中で過ごすと気分がよくなる方向はそろっていますが、最適な時間や頻度はまだ決まっていません。週120分という数字も、調査からわかった関連で、指針にはなっていません。

  • 週120分の研究は一度きりの調査で、著者ら自身が「指針を作るには長期の研究や介入研究が必要」と書いています。
  • 自然の効果と、外を歩く・体を動かす効果は、区別しきれていません。
  • 街路樹や木の多さと健康の関係を調べた研究は少なく(143件中5件)、結果も分かれています。
  • 画面の前で長く過ごす人やAIを多く使う人に絞って、自然の時間の効果を調べた研究は見つかりませんでした。

04今日からできるセルフケア

近くの公園や木のある場所で20〜30分過ごすことから始めます。その間はスマホを見ず、週の合計で120分を目安に、分けて積み上げます。お金も遠出も必要ありません。

1

昼休みか帰り道に、木のある場所で20分過ごす

近所の公園、川沿い、木の多い道など、自然を感じられる場所を1つ決めます。ストレスの指標が時間あたり最も効率よく下がったのは20〜30分でした。

目安 1回20〜30分・週3回

2

自然の中ではスマホをしまう

ミシガン州の研究では、自然の時間にSNS・ネット・電話・読書を避けるよう決められていました。画面から離れる時間として、通知も見ずに景色や音に注意を向けます。

目安 自然の中にいる間ずっと

3

週の合計を数えて、120分に近づける

平日の20分を3回と、週末の60分で120分になります。分けても1回でも違いはなかったので、続けやすい形で大丈夫です。

目安 週120分・週末に1分で振り返る

4

頑張って歩かず、座って過ごしてもいい

ミシガン州の研究では、座るか歩くかでコルチゾールの下がり方は変わりませんでした。ベンチで木や空を眺めるだけでもかまいません。

目安 疲れた日に・20分

こまめに体を動かしたい人は短い散歩と気分の研究、昼休みの過ごし方を変えたい人はデスクで昼食をとる人向けの研究も参考になります。画面から離れる時間を長めに取りたい人はデジタルデトックスの研究をどうぞ。

05よくある質問

公園に行く時間がない。短い時間でも意味はある?

米国の36人の研究では、10分以上の自然の時間を何度も取ってもらい、ストレスの指標(だ液のコルチゾール)が下がっていました。時間あたりの下がり方がいちばん効率的だったのは20〜30分でした。短時間の効果を一律に決めた研究ではありません。

週120分より長く過ごすほど、よいの?

イングランドの約2万人の調査では、健康や幸福感との関連は週200〜300分あたりで頭打ちになり、それ以上は増えていませんでした。長ければ長いほどよい、という結果ではありません。

森や山でないとだめ?

イングランドの調査は、町なかの公園や運河、海辺、田園地帯で過ごした時間を数えていました(自宅の庭は含まず)。遠くの森でなくても、近くの公園など身近な緑を対象にした研究があります。

運動したから気分がよくなっただけでは?

その可能性は区別しきれていません。イングランドの調査の著者らも、自然の時間が体を動かした量の代わりになっている可能性を挙げています。一方、米国の研究では、座るか歩くかといった過ごし方の違いでコルチゾールの下がり方は変わりませんでした。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. McMahan EA, Estes D (2015). The effect of contact with natural environments on positive and negative affect: A meta-analysis. The Journal of Positive Psychology, 10(6), 507-519. https://doi.org/10.1080/17439760.2014.994224
  2. Coventry PA, Brown JE, Pervin J, Brabyn S, Pateman R, Breedvelt J, Gilbody S, Stancliffe R, McEachan R, White PL (2021). Nature-based outdoor activities for mental and physical health: Systematic review and meta-analysis. SSM - Population Health, 16, 100934. https://doi.org/10.1016/j.ssmph.2021.100934
  3. White MP, Alcock I, Grellier J, Wheeler BW, Hartig T, Warber SL, Bone A, Depledge MH, Fleming LE (2019). Spending at least 120 minutes a week in nature is associated with good health and wellbeing. Scientific Reports, 9, 7730. https://doi.org/10.1038/s41598-019-44097-3
  4. Hunter MR, Gillespie BW, Chen SY (2019). Urban nature experiences reduce stress in the context of daily life based on salivary biomarkers. Frontiers in Psychology, 10, 722. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2019.00722
  5. Twohig-Bennett C, Jones A (2018). The health benefits of the great outdoors: A systematic review and meta-analysis of greenspace exposure and health outcomes. Environmental Research, 166, 628-637. https://doi.org/10.1016/j.envres.2018.06.030