やるべきことに取りかかれない、つい先延ばしにしてしまう。12件の試験のまとめでは、考え方を整える練習に小さな効果があった

やらなきゃいけないのは、わかっている。それなのに手が動かず、気づくとスマホを見ている。締め切りが近づくほど、焦りと自己嫌悪がふくらんでいく。先延ばしは、意志が弱い人だけの悩みではありません。研究では、練習で変えられる行動として調べられてきました。
3行でわかる
- 先延ばしへの心理的な方法を調べた12件の試験のまとめでは、効果は小さいながらあり、認知行動療法(考え方と行動を少しずつ変える方法)では中くらいの効果だった。
- オランダの大学生403人の試験では、4週間かけて少しずつ進める練習で先延ばしが減った。一方、スウェーデンの大学生2,209人に1回だけ助言した試験では、差が出なかった。
- その場では、作業を小さく分けて最初の一歩を決め、止まった理由を1行書き留める。コツを読むだけで終わらせず、数週間続けるのが研究に合ったやり方。
01 結論から言うと先延ばしは、自分で減らせる?
減らせる見込みはあります。ただし効果は小さめで、コツを1回読むだけでは変わりにくいことが試験で示されています。考え方と行動を、数週間かけて少しずつ変える練習で効果が見られました。
研究では、先延ばしを「やると決めたことを、遅れると損だとわかっていても、自分から後回しにすること」と定義しています。予定を変えるのとは違い、自分でも困っているのに止められない状態です。
先延ばしの研究をまとめた論文が紹介している先行研究では、大人の最大20%が、日常の先延ばしに困っていると答えていました。学生ではさらに多いとされます。珍しい悩みではありません。
作業の途中で中断されて戻れないときは作業を中断されると元に戻れないときの記事、寝る前にスマホをやめられないときは夜ふかしがやめられないときの記事も参考になります。
02 研究とデータでわかっていること先延ばしを減らす方法は、どれくらい効く?
12件の試験のまとめでは、効果は小さいながらありました。4週間続けるプログラムでは先延ばしが減りましたが、1回だけの助言では差が出ませんでした。先延ばしの多さは、のちの落ち込みやストレスとも関連がありました。
Rozentalら(2018)[1]
先延ばしに対する心理的な方法を、何もしないグループなどと比べたランダム化比較試験を集めて分析しました。全体の効果は0.34で、小さいながらはっきりありました。ただし試験どうしの結果のばらつきは大きいものでした。認知行動療法を使った3件の試験に絞ると、効果は0.55と中くらいで、ばらつきは見られませんでした。
対象: 12件の試験・計718人(学生や一般の大人) / 限界: 試験の数が少なく、認知行動療法の分析は3件だけ。測り方は本人の回答によるもの。
Amarnathら(2025)[2]
認知行動療法をもとにしたオンラインの練習を、4週間続けたグループと、待機したグループを比べました。練習は1回30〜40分の5つの単元で、先延ばしの仕組みを知る、自分が止まる場面を書き留める、考え方のくせに気づいて言い直す、ぶり返しに備える、という流れです。単元を終えるたびに、心理学を学ぶ学生のコーチが文章で感想を返しました。4週間後、練習したグループの先延ばしは、待機したグループより減っていました(全員を含めた分析で効果の大きさ0.38)。参加者がこなした単元は、平均すると5つのうち2.7でした。6か月後に回答した人では、減った状態が続いていました。ストレスの感じ方は下がりましたが、落ち込みや不安には、はっきりした差は見られませんでした。
対象: オランダの7つの大学の学生403人(平均23.5歳) / 限界: 比べた相手は待機したグループで、6か月後の結果は練習したグループのうち回答した67人だけのもの。大学生以外に同じ効果があるかはわからない。
Åsbergら(2024)[3]
先延ばしの程度を自分で測ったあと、1回だけ結果の説明と行動の助言をウェブで受けたグループと、点数だけを見たグループを比べました。2か月後の先延ばしに、目立った差は出ませんでした。参加者からは、助言を自分の生活に取り入れにくい、続けて支えてもらえないと実行に移せない、という声がありました。
対象: スウェーデンの大学生2,209人(平均26.4歳) / 限界: 2か月後に回答したのは約半数。最初に全員が自分の先延ばしを測ったため、それだけで両方のグループが変わった可能性がある。
Johanssonら(2023)[4]
先延ばしが多い学生ほど、9か月後の落ち込み・不安・ストレスの程度が高い傾向がありました。眠りの質が悪い、体を動かさない、孤独を感じる、といった状態とも関連がありました。多くの要因をそろえて比べたうえでの結果ですが、関連は小さめでした。
対象: ストックホルム周辺などスウェーデンの8つの大学の学生3,525人(平均24.8歳、2019〜2021年) / 限界: 観察した研究のため、先延ばしが原因で不調になったとまでは言えない。
SiroisとMonaghan(2026)[5]
36の調査をまとめると、先延ばしの傾向が強い人ほど、自分の健康状態を低く評価する関連がありました(相関0.21)。この関連の一部は、ストレスの高さで説明できました。
対象: 36の調査・計8,603人 / 限界: どれも一時点の調査で、どちらが先かはわからない。
並べると見えてくるのは、先延ばしは変えられるが、1回のコツでは変わりにくいということです。効果が出た試験は、自分が止まる場面を記録し、考え方を言い直す練習を、数週間くり返していました。
03 まだわかっていないことどんな人に、どの方法が合う?
まだはっきりしていません。研究の多くは大学生が対象で、働く大人や、AIやスマホが身近になった後の先延ばしを調べた試験は少ないのが現状です。
- 働く大人の仕事の先延ばしに、学生と同じ方法が効くかを確かめた試験は少ない。
- 作業を小さく分ける、時間を管理するといった個別の工夫が、それぞれどれだけ効くのかは分けて調べられていない。
- AIに作業を手伝ってもらうことが、先延ばしを減らすのか増やすのかは、まだ研究が始まったばかり。
04 今日からできるセルフケア手が止まったその場で、何をすればいい?
効果が出たプログラムの中身を、小さく借りるのが近道です。作業を分けて最初の一歩を決め、止まった理由と頭に浮かんだ考えを書き、言い直します。これを数週間続けます。
作業を分けて、最初の一歩だけ決める
「企画書を書く」ではなく「ファイルを開いて見出しを3つ打つ」のように、すぐ終わる一歩まで小さくします。作業を分ける工夫は、オランダの試験のプログラムでも、選んで受けられる単元に含まれていました。
目安 分けるのに2分、最初の一歩は5分以内
止まった場面と、浮かんだ考えを1行書く
「資料作成の前で、うまく書けない気がして止まった」のように、いつ・何の前で・どんな考えが出たかを書きます。自分が止まりやすい場面が見えてきます。
目安 止まったときに1回1分
止めている考えを、言い直す
「完璧に書けないなら始めない」を「まず下書きでいい」に変えるなど、書き出した考えを、動ける言葉に言い直します。考え方のくせに気づいて言い直すのは、認知行動療法の中心になる練習です。
目安 1回1分。言い直した文を作業の横に置く
週に1回、振り返る日を決める
1回の助言では差が出なかった試験があります。週に1回、書き留めたメモを見返し、うまくいった一歩を確かめます。家族や同僚に経過を話すのも、続ける支えになります。
目安 週1回15分を、まず4週間
05よくある質問
先延ばしは、怠けや性格の問題?
研究では、先延ばしは「やると決めたことを、遅れると損だとわかっていても後回しにしてしまう」こととされ、自分の行動を調整するのがうまくいかない状態として扱われています。怠けと言い切るより、練習で変えられる行動として研究されています。
コツを読んでも、すぐに先延ばしが直らないのはなぜ?
スウェーデンの大学生2,209人の試験では、1回だけ助言を受けたグループと受けなかったグループで、2か月後の先延ばしに目立った差は出ませんでした。参加者からは、続けて支えてもらえないと実行に移しにくいという声がありました。4週間かけて少しずつ練習したオランダの試験では効果が見られました。
先延ばしで気分まで落ち込んでいるときは?
スウェーデンの大学生3,525人の研究では、先延ばしの多さと、9か月後の落ち込みやストレスの高さに関連がありました。自分を責めるより、作業を小さく分けるなど行動の側から手を打つのが一つの方法です。失敗のあとの自分への声かけはミスのあと自分を責めてしまうときの記事にまとめています。
つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
無料ツール
セルフチェックで「今日やること」をまとめる
当てはまる悩みを選ぶだけ。診断はせず、記事の対策を一覧にします。
研究早見表でほかの悩み103件も見る
出典
- Rozental A, Bennett S, Forsström D, Ebert DD, Shafran R, Andersson G, Carlbring P. (2018). Targeting Procrastination Using Psychological Treatments: A Systematic Review and Meta-Analysis. Frontiers in Psychology, 9, 1588. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.01588
- Amarnath A, Ozmen S, van Klaveren C, et al. (2025). Effectiveness of a guided internet-based intervention in reducing procrastination among university students – a randomized controlled trial. Internet Interventions, 42, 100878. https://doi.org/10.1016/j.invent.2025.100878
- Åsberg K, Löf M, Bendtsen M. (2024). Effects of a single session low-threshold digital intervention for procrastination behaviors among university students (Focus): Findings from a randomized controlled trial. Internet Interventions, 36, 100741. https://doi.org/10.1016/j.invent.2024.100741
- Johansson F, Rozental A, Edlund K, et al. (2023). Associations Between Procrastination and Subsequent Health Outcomes Among University Students in Sweden. JAMA Network Open, 6(1), e2249346. https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2022.49346
- Sirois FM, Monaghan C. (2026). Procrastination, stress, and self-rated health: A multi-sample meta-analysis. British Journal of Health Psychology, 31(3), e70099. https://doi.org/10.1111/bjhp.70099


