人とのつながり

メッセージの返信を待つあいだ、そわそわするのはなぜ?スイスの若者65人の実験では、返事が7分遅れた組で、返事が届くまでの手のひらの汗の反応が高まり、本人が感じる心地よさは早さでは変わらなかった

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理
テーブルに並んだサンドイッチとコーヒー
Photo: Shanice Garcia sagarcia / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

メッセージを送ったあと、返事が来るまで何度も画面を見てしまう。「入力中」の表示が出ると、少しドキッとする。そんな落ち着かなさは、気にしすぎな性格のせいとは限りません。スイスの実験では、返事が遅れたときほど、返事が届く場面で体の反応が高まっていました。

3行でわかる

  1. スイスの若者65人の実験では、返事が7分遅れた組で、相手の入力中から返事が届くまでに、手のひらの汗の反応が高まっていました。
  2. 一方で、本人が答えた「やりとりの心地よさ」は、返事の早さでは変わらず、返事の中身で大きく変わっていました。
  3. 体の反応が「不安」なのか「期待」なのかは、まだ区別できていません。研究は少なく、結論はこれからです。

01 結論から言うと返信を待つと落ち着かないのはなぜ?

返事を待ったあとに返事が届く場面では、体が反応しやすいからだと考えられます。スイスの実験では、7分待たされた組で、返事が届くときの汗の反応が高まっていました。

人とのやりとりは、うれしい返事がもらえるかもしれない「ごほうび」の場面でもあります。研究者は、返事を待つ時間がその期待を高め、届いた瞬間の反応を大きくするのではないか、と考えています。

ただし、この体の反応は、いやな緊張とは限りません。わくわくする気持ちでも同じように出るため、汗の反応だけでは区別できないと、研究者自身が書いています。

02 研究とデータでわかっていること返事が遅いと、体と気持ちはどう変わる?

体の反応は、返事が遅れた組のほうが、届く場面で高まっていました。けれども、やりとりの心地よさや相手への印象を大きく左右したのは、早さより返事の中身でした。

7分返事が遅れた組の待ち時間(早い組は1分)。スイスの18〜34歳65人、2022年発表
変化なし心拍数は、待つ間も返事が届いたあとも、はっきり変わらなかった。同じ実験
160人同じ研究グループの先行実験。早い返事より、気持ちをくむ返事のほうが相手の印象を大きく左右した。2020年発表
535人ストレスが高い大学1年生ほど、電話とメッセージのやりとりが多かった。デンマーク、2019年発表

Camerini ら / スイス・イタリア語圏大学(2022)[1]

メッセージで頼みごとをすると、返事が7分遅れた組では、相手の入力中から返事が届くまでに、手のひらの汗の反応が高まりました。1分で返事が来た組より、この高まりがはっきりしていました。

心拍数には、どの場面でもはっきりした変化がありませんでした。本人が答えた「やりとりの心地よさ」や「相手が応じてくれそうか」の評価は、返事の早さでは差がありませんでした。差が出たのは、返事の中身(助けてくれるか、断られるか)でした。

対象: スイスのイタリア語圏に住む人を中心とした18〜34歳の65人(平均23歳)。実験室で、架空の同僚に3つの頼みごとをするやりとり / 限界: 80人のうち15人は測定の不具合で分析から外れ、人数は少なめです。

Petrocchi ら / スイス・イタリア語圏大学(2020)[2]

すぐ返事が来た組では、相手が「そばで応じてくれている」と感じる度合いが少し高くなりました。ただし、それより大きく効いていたのは、こちらの気持ちをくんだ返事かどうかでした。

返事に絵文字があると、相手がそばにいる感じも少し高まっていました。早さは、相手との「気持ちが通じている」感覚には、はっきり結びついていませんでした。

対象: スイスのイタリア語圏で行われた実験の18〜35歳160人(平均23歳) / 限界: 架空の相手とのやりとりで、待ち時間は「すぐ」と「7分後」の2通りだけです。

Dissing ら / コペンハーゲン大学(2019)[3]

ストレスを強く感じている大学1年生ほど、電話とメッセージでやりとりする相手が多く、やりとりの回数も多い傾向がありました。

研究者は、つらいときに支えを求めてやりとりが増えている可能性と、多くの相手とのやりとり自体がストレスになっている可能性の、両方を挙げています。

対象: デンマークの大学1年生535人(平均21歳)の3か月の記録 / 限界: 関連があったことしか言えず、どちらが原因かはわかりません。

03 まだわかっていないことそわそわは「嫌われたサイン」なの?

そうとは言えません。体の反応が不安なのか期待なのかは区別できておらず、返事の遅れと相手の気持ちの関係も調べられていません。

  • 実験は、架空の同僚に頼みごとをする場面でした。友達や恋人、家族とのやりとりで同じ反応が出るかは、まだわかりません。
  • 待ち時間は1分と7分の2通りだけでした。数時間や1日返事がない場合の研究は、見つかりませんでした。
  • 日本の人や、人づきあいで不安を感じやすい人を対象にした研究はありません。研究者も、こうした人で反応が強く出る可能性を今後の課題に挙げています。

04 今日からできるセルフケア返信待ちのそわそわと、どう付き合えばいい?

体の反応は自然なものと知り、待つ間は画面から離れ、自分が返す側のときは早さより中身を大切にする。この3つは今日から試せます。

1

「そわそわ=悪い知らせ」と決めつけない

返事を待ったあとに体が反応するのは、期待でも起きることです。胸がざわついたら「待っていたから体が反応しているだけ」と心の中で言ってみます。

目安 気づいたときに10秒

2

送ったら、次にやることを1つ決めて画面を伏せる

「送ったら洗い物をする」のように、待つ間の行動を先に決めます。何度も開いても返事は早まらないので、確かめる回数を減らします。

目安 送るたびに1回

3

返す側のときは、早さより「気持ちをくむひと言」

すぐに返せないときは、あとからでも「遅くなってごめん、話してくれてありがとう」のように相手の気持ちに触れるひと言を添えます。実験では、中身のほうが印象を大きく左右していました。

目安 返信1回につき1文

返事を待つ間に何度もトークを開いてしまうときの工夫は、既読がつかないと何度も開いてしまうときの記事にまとめました。文字だけのやりとりで気持ちが伝わらない不安は文字のやりとりで冷たいと思われていないか不安なときの記事、自分がすぐ返さなきゃと感じるつらさはチャットをすぐ返さないと不安になるときの記事で扱っています。

05よくある質問

返信が遅い相手は、自分に興味がないの?

研究からは言えません。スイスの実験では、返事の早さで本人の「心地よさ」の評価は変わらず、印象を大きく左右したのは返事の中身でした。返事の遅れと、相手の気持ちの関係を直接調べた研究は見つかりませんでした。

「入力中」の表示が出るとドキッとするのはおかしい?

おかしくありません。スイスの実験では、相手が入力を始めてから返事が届くまでの間に、手のひらの汗の反応が高まっていました。1分で返事が来た組より、7分待った組でこの高まりがはっきりしていました。

ストレスがたまっているときほど、メッセージが気になる?

関連はありそうです。デンマークの大学1年生535人の記録では、ストレスを強く感じている人ほど、電話とメッセージのやりとりが多い傾向がありました。ただ、やりとりが多いからストレスが高いのか、その逆なのかはわかっていません。

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出典

  1. Camerini, A.-L., Marciano, L., Annoni, A. M., Ort, A., & Petrocchi, S. (2022). Exploring the emotional experience during instant messaging among young adults: An experimental study incorporating physiological correlates of arousal. Frontiers in Psychology, 13, 840845. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.840845
  2. Petrocchi, S., Marciano, L., Annoni, A. M., & Camerini, A.-L. (2020). "What you say and how you say it" matters: An experimental evidence of the role of synchronicity, modality, and message valence during smartphone-mediated communication. PLoS ONE, 15(9), e0237846. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0237846
  3. Dissing, A. S., Jørgensen, T. B., Gerds, T. A., Rod, N. H., & Lund, R. (2019). High perceived stress and social interaction behaviour among young adults. A study based on objective measures of face-to-face and smartphone interactions. PLoS ONE, 14(7), e0218429. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0218429