人とのつながり

寝不足の日は、人に会うのがおっくうになる。一晩眠らなかった実験では、近づく人との距離を広くとり、周りの人からも寂しそうに見られていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理出典照合済み(2026-10-09)
夜明けのアクロポリスを描いた版画
Photo: Pennell, Joseph, 1857-1926 / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

寝不足の日は、友達からの誘いも同僚との雑談も、なんとなく面倒に感じます。結論から言うと、それは性格だけの問題ではなく、睡眠不足が人を遠ざける方向に働くことが実験で示されています。人とのつながりを守る予防策として、睡眠、とくに「質」を守ることは試す価値があります。

3行でわかる

  1. 一晩眠らなかった18人の実験では、近づいてくる人を止める距離が、よく眠った日より13〜18%遠くなっていた。
  2. 寝不足の日の録画を見た1,033人の判定者は、その人をより寂しそうだと評価し、見た判定者自身も寂しさを感じていた。
  3. 27件の研究のまとめでは、孤独は睡眠の質の低さと関連していたが、睡眠時間の長さとは関連していなかった。

01結論から言うと

寝不足は、人と距離をとる、人を助けたい気持ちが下がる、という方向に働くことが実験で示されています。人とのつながりを守るには、睡眠の質を守ることが予防策の1つになります。

孤独を防ぐというと、人に会う回数を増やすことを考えがちです。けれども、会う気力そのものが落ちていると、誘いを断ることが増えていきます。

米国カリフォルニア大学バークレー校の研究グループは、この「会う気力」に睡眠が関わっているかを、実験と日々の記録で調べてきました。わかってきたのは、寝不足の日は自分から人を遠ざけ、周りの人もその人に近づきにくくなる、という二重の流れです。

つながりが心と体の健康にどう関わるかは、つながりの研究をまとめた記事で整理しています。寝不足と気分の関係は、寝不足の翌日にイライラするときの記事にまとめています。

02研究とデータでわかっていること

一晩の徹夜で、人との距離は広がり、人を助けたい気持ちは下がりました。ふだんの生活でも、よく眠れなかった夜の翌日は、孤独感が高まり、助けたい気持ちが下がっていました。

13〜18%一晩眠らなかった日に、近づく人との距離が遠くなった割合(18〜24歳の健康な成人18人、2018年発表)
1,033人録画を見比べて、全体として寝不足の日のほうを「より寂しそう」と評価した判定者の人数(同じ研究)
78%一晩眠らなかったあと、人を助けたい気持ちが下がった人の割合(健康な成人23人、2022年発表)
0.27孤独と睡眠の問題(質の低さ・不眠の症状)の関連の強さ(相関、24件・34,254人のまとめ、2020年発表)

Ben SimonとWalker(2018)[1]

参加者は、よく眠った日と一晩眠らなかった日に、近づいてくる人に「ここで止まって」と伝える課題をしました。眠らなかった日は、止める距離が13.2%(対面)と17.7%(画面上)遠くなりました。この変化は、不安や気分の変化とは関連していませんでした。さらに、参加者の録画を見た1,033人は、寝不足の日の参加者をより寂しそうで、一緒に何かしたくない相手だと評価しました。見た判定者自身も、より寂しさを感じていました。

対象: 米国の大学で実験に参加した健康な18〜24歳18人、別の138人(2晩の記録)、判定者1,033人 / 限界: 実験は人数が少なく、一晩の徹夜という強い条件。ふだんの寝不足でどこまで同じことが起きるかは、2晩の記録でしか確かめていない。

Ben Simonら(2022)[2]

一晩眠らなかった実験では、23人中78%で、人を助けたい気持ちが下がりました。別の136人が4日間、ふだんどおりに眠って記録した調査では、睡眠の質が悪かった夜の翌日ほど、人を助けたい気持ちが下がっていました。睡眠時間の長さとは関連がありませんでした。米国の300万件を超える寄付の記録でも、夏時間に切り替わって睡眠が削られる週は、寄付額が約10%少なくなっていました。

対象: 健康な成人24人(実験、分析は23人)、136人(4日間の記録)、2001〜2016年の寄付の記録 / 限界: 4日間の記録と寄付の分析は観察研究で、ほかの理由が混じる可能性がある。

Griffinら(2020)[3]

孤独と睡眠の関係を調べた27件の研究を整理すると、孤独な人ほど、睡眠の質が低く、不眠の症状が多い傾向がありました(相関0.27、24件・34,254人)。一方で、睡眠時間の長さとの関連は見られませんでした。年齢や性別による違いも見られませんでした。

対象: 27件の研究 / 限界: 多くは一時点の調査で、孤独が睡眠を悪くするのか、その逆なのかははっきりしない。気分の落ち込みを考慮すると、関連は弱まっていた。

3つの研究を並べると、予防のヒントになる共通点が2つあります。

03まだわかっていないこと

睡眠を整えることで、孤独を長い目で予防できるかを確かめた実験は見つかりませんでした。睡眠と孤独のどちらが先かも、まだはっきりしていません。

  • 実験は一晩の徹夜で、少しずつたまる寝不足の影響は十分に調べられていない。
  • 睡眠を改善する介入で孤独が減るかを、長い期間で確かめた研究は見つからなかった。
  • 研究の多くは米国で行われ、日本の働く人や学生で同じ結果になるかはわかっていない。
  • 孤独な人が眠れなくなる、という逆向きの流れもありうる。

04今日からできるセルフケア

睡眠の質を下げる習慣を1つ減らす、寝不足の日は大事な約束をずらす、人を避けたくなったら睡眠のせいかもと考える、の3つです。どれもお金をかけずに始められます。

1

睡眠の質を下げる習慣を1つだけ減らす

研究で関連していたのは、睡眠の長さより質でした。寝る直前の画面や、夕方以降のカフェインなど、自分が思い当たる習慣を1つ選んで減らします。

目安 1週間、1つの習慣だけ

2

徹夜や寝不足の翌日は、大事な人付き合いを入れない

寝不足の日は、自分から距離をとりやすく、相手からも寂しそうに見えやすくなります。久しぶりの再会や大切な話し合いは、よく眠れた日に回します。

目安 予定を決めるときに1回確認

3

「人に会いたくない」と感じたら、前の晩の睡眠を振り返る

誘いを断りたくなったとき、前の晩によく眠れたかを思い出します。眠れていなければ、その気持ちは寝不足のせいかもしれません。すぐに関係を判断せず、よく眠った翌日に考え直します。

目安 30秒

寝る前のスマホをやめる方法は寝る30分前にスマホをやめた実験の記事、コーヒーと睡眠の関係はカフェインと睡眠の記事で紹介しています。

05よくある質問

寝不足だと人に会いたくなくなるのは、気分が落ちているから?

気分だけでは説明できませんでした。一晩眠らなかった実験では、人との距離を広くとる変化は、不安や気分の変化とは関連していませんでした。寝不足そのものが、人を遠ざける方向に働いていた可能性があります。

睡眠時間を長くすれば、孤独を防げる?

長さより質のほうが関連していました。27件の研究をまとめた論文では、孤独は睡眠の質の低さや不眠の症状と関連していましたが、睡眠時間とは関連していませんでした。136人の4日間の調査でも、翌日の人を助けたい気持ちと関連していたのは睡眠の質で、長さではありませんでした。

一度寝不足になると、人間関係に影響が残る?

ふだんの睡眠を記録した調査では、よく眠れた夜の翌日は、孤独感や人を助けたい気持ちが戻る方向の変化も見られました。一晩の寝不足で関係が決まるわけではありません。ただ、寝不足の日の自分は周りから寂しそうに見えやすいことは、知っておくと役立ちます。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Ben Simon E, Walker MP (2018). Sleep loss causes social withdrawal and loneliness. Nature Communications, 9, 3146. https://doi.org/10.1038/s41467-018-05377-0
  2. Ben Simon E, Vallat R, Rossi A, Walker MP (2022). Sleep loss leads to the withdrawal of human helping across individuals, groups, and large-scale societies. PLoS Biology, 20(8), e3001733. https://doi.org/10.1371/journal.pbio.3001733
  3. Griffin SC, Williams AB, Ravyts SG, Mladen SN, Rybarczyk BD (2020). Loneliness and sleep: A systematic review and meta-analysis. Health Psychology Open, 7(1), 2055102920913235. https://doi.org/10.1177/2055102920913235