考える力・集中

閉めきった部屋にいると、頭がぼんやりして集中できない。換気の研究では、外の空気を多く入れたほうが頭を使う課題の成績がよかった

約6分で読めます

わかっている度 ★★☆ 中研究6本・公的指針0件を整理出典照合済み(2026-10-12)
木の壁に付いた、赤い雨戸が開いた窓
Photo: Radomianin / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

会議室や閉めきった部屋で、画面とAIのやりとりに向かっていると、午後には頭が重くぼんやりしてくる。自分の集中力が落ちたのかと心配になるかもしれません。研究では、部屋の空気の入れ替え(換気)が、頭を使う課題の成績と関わっていました。集中を守る工夫は、自分の頭の中だけでなく、部屋の空気にもあります。

3行でわかる

  1. 米国で24人の会社員がオフィスを再現した部屋で働いた実験では、外の空気を多く入れた日のほうが、頭を使う課題の点が高くなっていました。
  2. 主に10〜12歳の子どもの教室を調べた5件の研究のまとめでも、換気を増やすと計算問題を解く速さが上がっていました。
  3. 二酸化炭素そのものが原因かは結果が分かれています。30分に1回は窓とドアを数分開ける、換気扇を止めないなど、空気を入れ替える習慣が予防の手がかりです。

01 結論から言うと閉めきった部屋で頭がぼんやりするのは気のせい?

気のせいとは言い切れません。オフィスや教室での実験では、外の空気を多く入れた条件のほうが課題の成績がよい傾向がありました。ただし、どの成分が原因なのか、どのくらいの影響があるのかは、まだ研究で結論が出ていません。

人が部屋にいると、吐く息に含まれる二酸化炭素や、体や持ち物から出るにおいの成分などが空気にたまっていきます。研究では、室内の二酸化炭素の濃度を「空気がどれだけ入れ替わっているか」の目安としてよく使います。日本でも、ビルの空気の基準として、二酸化炭素を1,000ppm以下に保つことが法律で定められています。

集中が続かないと「自分の力が落ちた」と考えがちですが、部屋の空気のように、自分の外にある条件も関わっている可能性があります。換気は、お金をかけずにすぐ試せる予防の一つです。

02 研究とデータでわかっていること換気で、頭の働きはどのくらい変わる?

オフィスを再現した実験では、二酸化炭素が約945ppmの日は約550ppmの日より課題の点が15%低く、約1,400ppmの日は50%低くなっていました。子どもの教室の研究のまとめでも、換気を増やすと計算の速さが上がっていました。

15%低い二酸化炭素が約945ppmの日の課題の点(約550ppmの日と比べて)。米国の会社員24人、2014年の実験
50%低い二酸化炭素が約1,400ppmの日の課題の点(同じ比べ方。同じ実験)
13.7%換気を増やした教室で上がった計算問題の速さ。主に10〜12歳を調べた5件の研究のまとめ(2023年)
1,000ppm日本の法律で定められた、ビルの室内の二酸化炭素の基準(これ以下に保つ)

Allen ほか / ハーバード大学ほか(2016年)[1]

会社員に、オフィスを再現した部屋で朝9時から夕方5時まで、6日間働いてもらいました。どの日がどの空気の条件かは知らせずに、日によって換気の量や二酸化炭素、建材などから出る化学物質の量を変え、毎日午後に、計画を立てる・情報を使う・危機に対応するといった頭を使う課題を受けてもらいました。外の空気を2倍に増やした日は、最低基準の量で換気した日より点が平均25%高くなっていました。換気はそのままで二酸化炭素だけを足した日は、約945ppmで15%、約1,400ppmで50%、点が低くなっていました。

対象: 米国ニューヨーク州の建築家・設計者・プログラマー・技術者・管理職など24人(20〜70歳)、2014年11月の実験 / 限界: 人数が少なく、実験用の部屋での結果です。実際のオフィスで同じ差が出るかは確かめが必要だと、著者ら自身が書いています。

Satish ほか / ローレンス・バークレー国立研究所ほか(2012年)[2]

オフィスのような部屋で、二酸化炭素を600・1,000・2,500ppmにして、それぞれ2.5時間ずつ過ごしてもらいました。濃度は本人にも試験を行う人にも知らせませんでした。600ppmと比べて、1,000ppmでは意思決定の9つの指標のうち6つで成績が中くらい下がり、2,500ppmでは7つで大きく下がっていました。

対象: 主に米国の大学の学生22人 / 限界: 1日のうちに3つの条件を続けて受けた短時間の実験で、著者らも「確かめが必要」と書いています。

Kuramochi ほか / 慶應義塾大学ほか(2023年)[3]

換気の量を変えて、課題の成績を比べた5件の研究(延べ3,679人分)をまとめて分析しました。換気を増やすと、課題を解く速さが上がり、計算問題では速さが13.7%上がっていました。もともとの換気が少ない部屋ほど、換気を増やしたときの伸びが大きい傾向でしたが、統計的にはっきりした差ではありませんでした。

対象: 5件のうち4件はデンマークの小学校で、10〜12歳の子どもが中心 / 限界: 働く大人を対象にした研究は含まれていません。研究の数も少なく、著者らは結果の当てはめに注意が必要だと書いています。

Zhang ほか / デンマーク工科大学ほか(2017年)[4]

二酸化炭素だけを足して1,000ppmや3,000ppmにした部屋と、換気を減らして人の体から出る成分ごと空気がこもり、二酸化炭素が同じ濃度になった部屋を比べました。二酸化炭素だけを足しても、空気の感じ方や体調、課題の成績に、はっきりした差は出ませんでした。一方、人の体から出る成分がこもった3,000ppmの部屋では、頭痛・だるさ・眠気・頭がすっきりしない感じが強まり、一部の課題の成績も下がっていました。

対象: 25人がそれぞれの条件で255分ずつ過ごした実験 / 限界: 要旨で確認できた範囲の紹介です。人数は少なく、条件も限られています。

Herbig ほか(2026年)[5]

健康な大人をくじで11のグループに分け、二酸化炭素(1,200〜4,200ppm)、化学物質、気圧の組み合わせを変えて、8種類の頭の働きを調べました。差が出たのは8つのうち2つだけで、その差も空気の条件と筋の通った形ではそろっていませんでした。短時間なら、二酸化炭素を足しても頭の働きに一貫した悪影響は見られなかった、と著者らは結論づけています。

対象: 18〜69歳の健康な大人398人(飛行機の客室を再現した実験) / 限界: 要旨で確認できた範囲の紹介です。短時間の実験で、著者らはもっと長い時間の研究が必要だと書いています。

Hayashi ほか / 日本の建築・空気環境の研究者(2020年)[6]

夏の室内環境と換気についての日本の専門家のまとめです。ビルの空気の基準として、二酸化炭素を1,000ppm以下に保つことが法律で定められていることを紹介していました。窓がある部屋では2方向の窓を開けて風の通り道を作り、1時間に2回以上、数分ずつ換気することが勧められていました。家庭用の一般的なエアコンは空気を循環させるだけで、換気の働きはないことにも注意を促していました。

対象: 日本の住宅・オフィス・学校などの換気 / 限界: 新型コロナの感染対策として書かれたまとめで、集中や頭の働きへの効果を調べたものではありません。

03 まだわかっていないこと二酸化炭素そのものが、集中を下げる原因?

まだ結論は出ていません。二酸化炭素だけを足すと成績が下がった実験と、下がらなかった実験の両方があります。人が多く換気の少ない、こもった空気全体が関わっている可能性もあります。

  • 二酸化炭素だけを足した実験の結果は分かれていて、どの濃度から影響が出るのかはわかっていません。
  • 働く大人の研究は、数十人規模の実験室の研究が中心です。実際のオフィスや自宅での仕事でどのくらいの差が出るかは、確かめられていません。
  • 換気の研究のまとめは主にデンマークの子どもの教室で、日本の大人に同じ大きさの効果があるかはわかりません。
  • 何分おきに、どのくらい換気すれば集中によいのかという目安は、集中の研究からはまだ出ていません。

04 今日からできるセルフケア空気のこもりで集中を落とさないためには?

窓とドアを定期的に開けて空気を入れ替える、換気扇や換気設備を止めない、人が多い部屋では途中で空気を入れ替える。どれもお金をかけずにできる、研究に沿った予防の工夫です。

1

30分に1回、窓とドアを数分開ける

作業の区切りに、2方向の窓か、窓とドアを開けて風の通り道を作ります。窓が1つしかない部屋は、ドアも開けると空気が流れやすくなります。

目安 1時間に2回・1回数分

2

エアコンとは別に、換気扇を回しておく

家庭用の一般的なエアコンは空気を回すだけで、外の空気は入れ替えません。在宅で仕事をする日は、換気扇や24時間換気のスイッチが切れていないか確かめておきます。

目安 仕事を始める前に1回確認

3

人が多い部屋の長い会議は、途中で扉を開ける

人が多く狭い部屋ほど、空気はこもりやすくなります。長い会議では、休憩のときに扉や窓を開けて空気を入れ替えると決めておきます。

目安 会議の途中に1回・数分

画面作業で頭が働かないときの水分の取り方は「画面作業で頭がぼーっとして、集中が続かない」で、午後の眠気と短い昼寝は「午後になると眠くて頭が働かない」で、短い休憩の取り方は「パソコン作業で頭が疲れる」で整理しています。

05よくある質問

暑くて窓を開けにくい季節はどうすればいい?

日本の空気環境の専門家による2020年のまとめ(新型コロナ対策として書かれたもの)では、暑い時期は窓を開ける時間や回数を調整して室温を28℃以下に保つことが勧められていました。換気扇や換気設備を止めずに動かしておくことも、窓を大きく開けにくい季節の手がかりになります。

二酸化炭素の濃度が高いと、頭が悪くなるの?

まだ結論は出ていません。米国の大学生中心の22人の実験では1,000ppmで意思決定の成績が一部下がりましたが、デンマークの25人の実験や、398人の大きな実験では、二酸化炭素だけを増やしても成績ははっきり下がりませんでした。人が多く換気の少ない、こもった空気のほうが影響しやすいと考える研究者もいます。

エアコンをつけていれば換気もできている?

そうとは限りません。日本の専門家による2020年のまとめでは、家庭用の一般的なエアコンは室内の空気を循環させるもので、換気の働きはないと説明されていました。換気扇や24時間換気の設備を動かすか、窓やドアを開ける必要があります。

無料ツール
セルフチェックで「今日やること」をまとめる
当てはまる悩みを選ぶだけ。診断はせず、記事の対策を一覧にします。
研究早見表でほかの悩み210件も見る

出典

  1. Allen, J. G., MacNaughton, P., Satish, U., Santanam, S., Vallarino, J., & Spengler, J. D. (2016). Associations of cognitive function scores with carbon dioxide, ventilation, and volatile organic compound exposures in office workers: a controlled exposure study of green and conventional office environments. Environmental Health Perspectives, 124(6), 805–812. https://doi.org/10.1289/ehp.1510037
  2. Satish, U., Mendell, M. J., Shekhar, K., Hotchi, T., Sullivan, D., Streufert, S., & Fisk, W. J. (2012). Is CO2 an indoor pollutant? Direct effects of low-to-moderate CO2 concentrations on human decision-making performance. Environmental Health Perspectives, 120(12), 1671–1677. https://doi.org/10.1289/ehp.1104789
  3. Kuramochi, H., Tsurumi, R., & Ishibashi, Y. (2023). Meta-analysis of the effect of ventilation on intellectual productivity. International Journal of Environmental Research and Public Health, 20(8), 5576. https://doi.org/10.3390/ijerph20085576
  4. Zhang, X., Wargocki, P., Lian, Z., & Thyregod, C. (2017). Effects of exposure to carbon dioxide and bioeffluents on perceived air quality, self-assessed acute health symptoms, and cognitive performance. Indoor Air, 27(1), 47–64. https://doi.org/10.1111/ina.12284
  5. Herbig, B., Mayer, F., Norrefeldt, V., & Wargocki, P. (2026). Do carbon dioxide, volatile organic compounds and atmospheric pressure affect the cognitive performance of occupants in indoor environments? Results of a large-scale experiment with simulated flights. International Journal of Hygiene and Environmental Health, 275, 114809. https://doi.org/10.1016/j.ijheh.2026.114809
  6. Hayashi, M., Yanagi, U., Azuma, K., Kagi, N., Ogata, M., et al. (2020). Measures against COVID-19 concerning summer indoor environment in Japan. Japan Architectural Review, 3(4), 423–434. https://doi.org/10.1002/2475-8876.12183