AI疲れ・情報疲れ

AIで仕事は速くなったのに、かえって疲れるのはなぜ?若手社会人15人への聞き取りでは、AIの答えの確かめや、同時に抱える仕事の増加が負担として語られ、楽になった面も多く挙がっていた

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理
木の机の上に置かれた砂時計
Photo: Suohros / CC0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

文章も資料もAIで速く作れるようになったのに、一日の終わりはなぜかぐったりしている。そう感じる人は少なくありません。研究で見えてきたのは、AIが減らした作業の代わりに、答えを確かめる、同時に多くの仕事を進めるといった、目に見えにくい負担が増えていることです。ただし研究はまだ少なく、楽になったという声も多く出ています。

3行でわかる

  1. 若手社会人15人への聞き取りでは、AIの答えが信頼できるかの確かめや、同時に抱える仕事の増加が、新しい負担として語られた。
  2. 中国の研究チームによる426人の調査では、AIのまちがった情報を心配する人ほど、見分けることへの疲れが強く、疲れが強い人ほどAIへの不安も強い関連があった。
  3. 一方で、作業が速くなった、学べることが増えたという前向きな声も多かった。どれも一時点の研究で、AI疲れが長く続くかはわかっていない。

01 結論から言うとAIで速くなったのに疲れるのはなぜ?

AIが作業を減らす一方で、答えを確かめる手間や、同時に進める仕事が増えるためと考えられています。若手社会人への聞き取りで語られた負担ですが、研究はまだ少なく、楽になった面も多く報告されています。

AIは、下書きや調べものなど、手を動かす作業を短くしてくれます。けれど、その答えが正しいかを判断するのは人の役目として残ります。見ただけでは間違いがわからない答えを、一つずつ確かめるのは、頭を使う作業です。

さらに、一つの仕事が速く終わると、空いた時間に別の仕事が入ります。研究では、こうした「仕事の詰まり方」の変化も、疲れの理由として語られていました。

02 研究とデータでわかっていることAIを使う疲れは、何から来ている?

聞き取りでは、AIの答えの信頼性、仕事の詰まり方の変化、頼りすぎや力が落ちる心配が負担として挙がりました。調査では、まちがった情報への心配と、それを見分ける疲れ、AIへの不安が結びついていました。

15人中5人AIを使う仕事で「仕事量が増えて負担」と感じていた若手社会人(26〜35歳、2025年発表)
15人中13人同じ聞き取りで、AIで自分の仕事がなくなるとは感じていなかった人。2人はどちらとも言えなかった
426人AIのまちがった情報への心配と疲れ、不安の関連を調べた、中国の研究チームによる調査の人数。8割が18〜25歳(2026年発表)

Högemannら(2025年)[1]

生成AIを試しに入れたり使ったりしている職場で働く、研究開発・IT・金融・マーケティングの若手社会人15人に話を聞いた。AIで仕事を失うと感じていた人はおらず(13人は否定、2人はどちらとも言えない)、仕事量が増えて負担と感じていたのは5人だった。AIならではの負担として、答えの信頼性や確かめの手間、頼りすぎや力が身につかない心配、ルールや著作権のあいまいさが語られた。

研究開発の参加者は「AIがプログラムの一部を引き受けると、一人で多くの案件を同時に抱えられる。負担が重くなりすぎることもある。自分で作るより見張る役が中心になると、10の案件を同時に持つかもしれない」と話した。一方で、同じ量の成果を少ない手間で出せる、新しいことを学べる、仕事がおもしろくなるといった前向きな声も多く出ていた。

対象: ドイツの研究チームが聞き取りをした26〜35歳の15人(働いて5年以内、大学卒以上) / 限界: 人数が少ない聞き取りで、数字は傾向をつかむためのもの。職場の紹介で集めたため、偏りがありうる。

ZhaoとLiu(2026年)[2]

生成AIの利用者にネットで質問した調査。AIのまちがった情報を心配する人ほど、それを見分けることへの疲れが強い関連があった(関連の強さを示す値0.469)。この疲れと、個人情報への心配による疲れが強い人ほど、AIへの不安も強かった。不安が強い人ほど、AIを使うのをやめたい気持ちも強い傾向があった。

対象: 中国のアンケートサービスとSNSで集めた生成AI利用者426人(女性65.3%、18〜25歳が80%) / 限界: 一時点の調査で、どちらが原因かはわからない。若い人が多く、働く人全体には当てはまらない可能性がある。

Lițan(2025年)[3]

AIが社会に広がることによる負担感(量の多さ、私生活への入りこみ、難しさ、仕事の不安など)と、生活の質の関係を調べた。負担感は生活の質と直接にはつながっていなかったが、ふだんのいやな気分や前向きな気分を通して、間接的に関わっていた。

対象: ルーマニアの18〜62歳の217人 / 限界: 一時点の調査で、因果関係はわからない。仕事でのAIの使い方そのものは調べていない。

03 まだわかっていないことAI疲れは長く続く?誰に起きやすい?

AIを使う疲れが長く続くのか、慣れて軽くなるのかは、まだわかっていません。研究は一時点の聞き取りや調査ばかりで、人数も少なく、どんな人や仕事で強く出るかも確かめられていません。

  • 同じ人を長く追った研究がなく、AI疲れが続くのか、慣れで消えるのかはわからない。
  • 聞き取りは15人で、職種によって感じ方が大きく違った。日本の働く人で同じことが起きるかは調べられていない。
  • 答えの確かめが疲れのどのくらいを占めるのかを、時間や疲れの量で測った研究はまだ見当たらない。

04 今日からできるセルフケアAIを使う疲れを軽くするには?

まず、AIで増えた作業を書き出して、疲れの元を見える形にします。そのうえで、確かめる時間を最初から作業時間に入れ、同時に進める仕事の数に上限を決めます。

1

AIで「増えた作業」を1日分書き出す

答えの確かめ、指示の書き直し、同時に増えた案件など、AIで減った作業と増えた作業を分けてメモします。研究で語られた負担の多くは、ふだん作業として数えられていないものでした。

目安 5分、1日分

2

確かめる時間を、最初から作業時間に入れる

「AIで10分」ではなく「AIで10分+確かめて10分」と見積もります。聞き取りの研究者も、AIの答えを確かめる時間を、あらかじめ仕事の計画に組みこむことを勧めていました。

目安 予定を立てるときに1分

3

同時に進める仕事の数に上限を決める

速く終わった分だけ新しい仕事を足していくと、見張る役の仕事が積み重なります。「同時に動かすのは3つまで」など、自分なりの上限を決めて、それを超えたら順番を待たせます。

目安 朝の5分で決める

新しいAIの情報を追うこと自体がつらいときは追いかけ方の枠を決める方法を、情報の量に疲れているときは情報の減らし方を、頭がいっぱいで考えがまとまらないときは紙に書き出す方法を読めます。

05よくある質問

AIを使うと疲れるのは、自分の使い方が下手だから?

そうとは限りません。若手社会人15人への聞き取りでは、AIの答えが正しいか確かめる手間や、同時に進める仕事が増えることが負担として語られていました。これは使い方の上手・下手より、AIを使う仕事そのものに含まれる負担と考えられています。

AIの答えを確かめるのは、なぜ疲れる?

答えが一見もっともらしく、どこが間違っているか見ただけではわからないためと考えられます。中国の研究チームによる426人の調査では、AIのまちがった情報への心配が強い人ほど、それを見分けることへの疲れが強い関連がありました。疲れが強い人ほど、AIへの不安も強い傾向でした。

AI疲れは、そのうち慣れて消える?

わかっていません。今回紹介した研究は、どれも一時点の聞き取りや調査で、同じ人を長く追ったものではありません。慣れて軽くなるのか、仕事が増えて重くなるのかは、まだ確かめられていません。

AIを使うのをやめたほうがいい?

研究からは、やめるべきとは言えません。同じ聞き取りでは、作業が速くなった、新しいことを学べた、仕事がおもしろくなったという前向きな声も多く出ていました。疲れの元になっている作業を見つけて、時間の見積もりや仕事の量を調整するほうが現実的です。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Högemann, M., Hein, L., Britsche, J.-O., & Thomas, O. (2025). Technostress and generative AI in the workplace: a qualitative analysis of young professionals. Frontiers in Artificial Intelligence, 8, 1728881. https://doi.org/10.3389/frai.2025.1728881
  2. Zhao, W., & Liu, J. (2026). Risk perception and generative AI discontinuance intention: mediating effect of cognitive fatigue and moderating effect of AI dependence. Frontiers in Psychology, 17, 1879080. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1879080
  3. Lițan, D.-E. (2025). The Impact of Technostress Generated by Artificial Intelligence on the Quality of Life: The Mediating Role of Positive and Negative Affect. Behavioral Sciences, 15(4), 552. https://doi.org/10.3390/bs15040552