AI疲れ・情報疲れ

画面と情報に追われる毎日で、ごはんを作る気力もなくなった。香港の大人295人の2週間の記録では、誰かのために料理した時間のあと、元気さや気分が少し上がっていたが、その場限りの小さな変化だった

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理
まな板の上でパプリカを切る手元
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

一日じゅう画面と情報に追われていると、帰ってからごはんを作る気力が残らないことがあります。疲れが抜けない日が続くと、食事はとりあえず済ませるもの、になりがちです。一方で、「人のために料理すると元気が出る」と感じる人もいます。料理をする側の心の状態を記録した研究から、わかったことと、まだわからないことを整理しました。

3行でわかる

  1. 香港の大人295人が2週間、1日3回気分を記録した研究では、誰かのために料理した時間のあとは、ふだんより元気さ・気分・自分への満足感が少し高く、いやな気分が少し低かった。
  2. ただし変化は小さく、その場限りで、次の記録まで続く様子はなかった。よく料理する人ほど毎日の気分がよいとまでは言えなかった。
  3. 料理教室の研究30件のまとめでも、心への効果を調べた研究はまだ少ない。疲れた日は無理をせず、作れる日に「誰かの分も一品」くらいから試すのが研究に近い使い方。

01 結論から言うと誰かのために料理すると、疲れた心は回復する?

料理したその時間に、気分や元気さが少し上がることはありそうです。ただし研究はまだ少なく、どれも観察した研究で、料理が原因かどうかや、続けると疲れが抜けていくかは確かめられていません。

香港の研究チームは、「誰かのために料理すること」(相手が誰かまでは調べていません)が、作る本人の気持ちにどう関わるかを、スマホで1日に何度も記録してもらう方法で調べました。その結果、誰かのために料理した時間のあとは、その人のふだんと比べて、気分がよく、元気さを感じやすくなっていました。

一方で、よく料理する人とあまりしない人を比べると、気分の差ははっきりしませんでした。研究チームは、料理の効果は「その場で少し気分が上がる」という形で表れやすく、長く続く変化かどうかはまだわからないとまとめています。

02 研究とデータでわかっていること料理する人の気分は、どう変わっていた?

2週間の記録では、誰かのために料理した時間に、元気さ・気分のよさ・自分への満足感が少し上がり、いやな気分が少し下がっていました。内向的な人ほど、上がり方が大きめでした。

295人2週間、1日3回スマホで気分と料理を記録した香港の大人の数(平均37歳、2026年発表)
9,707回集まった気分の記録の回数(同じ研究。予定の78.3%に回答)
30件大人向けの料理教室の効果を調べた研究のまとめの対象(2005〜2025年の研究)
7件中3件そのうち生活の質を調べた研究の数と、はっきりよくなっていた研究の数

Hui ら(2026)[1]

4つの研究(計1,500人超)で、「誰かのために料理すること」と心の状態の関係を調べました。中心となった研究では、香港の大人295人が14日間、1日3回、直前の数時間に誰かのために料理したかと、そのときの気分を記録しました。その人のふだんと比べて、料理した時間のあとは、元気さ、前向きな気分、幸せな感じ、自分への満足感がそろって少し高く、いやな気分が少し低くなっていました。自分のためだけの料理の回数を考慮しても、結果はほぼ変わりませんでした。内向的な人(にぎやかな場より落ち着いた場を好む人)ほど、気分と自分への満足感の上がり方が大きめでした。大学生231人の1週間の記録でも、料理した時間に前向きな気分と幸せな感じが少し高くなっていました。

対象: 香港の大人と大学生(4つの研究で計1,500人超) / 限界: どれも観察した研究で、料理が気分を上げたのかは確かめられていません。差は小さく、次の記録まで続く様子は見られませんでした。別の調査では、料理の回数が多い人ほど、いやな気分も強いという結果も出ており、研究チームは、料理が義務や負担になっている場合もありうると述べています。

da Fonseca ら(2025)[2]

大人向けの料理教室の効果を調べた30件の研究をまとめました。8割ほどの研究で、食べ物を自分で選ぶ力や料理の自信の向上が報告され、9割を超える研究で野菜や果物を多く食べるようになっていました。生活の質を調べた研究は7件で、そのうち3件ではっきりよくなっていました。ほかにも、参加者が「自信がついた」「心の調子がよくなった」と話した研究がありました。

対象: 2005〜2025年に発表された、大人向けの料理教室の研究30件(米国とオーストラリアが中心) / 限界: ほとんどの研究は食事や体の変化を調べたもので、心の変化を測った研究は少数です。研究どうしで方法がばらばらでした。

Chen ら(2025)[3]

台北の家族461人の調査で、家族で一緒に料理したり食べたりすることと、家族の幸福感との関係を調べました。一緒に料理し食事をする習慣がある人ほど、家族の幸福感が高い傾向がありました。

対象: 台北に住む中国系の家族の461人 / 限界: 1回だけの調査で、一緒に料理するから仲がよいのか、仲がよいから一緒に料理するのかは区別できません。

誰かのために何かをすることの研究全般については「自分は誰かの役に立てているのか不安」、疲れて何もする気が起きないときの小さな予定の立て方は「疲れて何もする気が起きない日が続く」で紹介しています。

03 まだわかっていないこと料理を続ければ、疲れは抜けていく?

まだわかっていません。わかっているのは、料理した時間にその場で気分が少し上がる、という関連までです。料理を勧めて疲れや気分が変わるかを確かめた試験は、今回見つかりませんでした。

  • 香港の研究は観察した研究で、研究チーム自身も、料理をしてもらう組としない組を比べる試験が必要だと書いています。
  • 料理した時間の気分のよさが、料理そのものによるのか、一緒に食べる人との会話によるのかは区別されていません。
  • 対象は香港と台北の人で、料理や食事の意味合いが違う地域でも同じかは確かめられていません。
  • 毎日作らなければならない状況では、料理が負担になる可能性もあり、どんな条件なら心によいのかはわかっていません。

04 今日からできるセルフケア疲れていても試せる、料理との付き合い方は?

疲れた日に無理に作る必要はありません。作れそうな日に「誰かの分も一品」から始めること、自分で選んで作ること、できれば一緒に作ったり食べたりすることが、研究から考えられる工夫です。

1

作れそうな日に、誰かの分も一品作る

家族や同居人、友人に、簡単なものを一品だけ作ります。卵焼きやみそ汁くらいで十分です。香港の研究では、誰かのために料理した時間のあとに、元気さや気分が少し高くなっていました。

目安 週1回・15分ほど

2

「作らなきゃ」の日は、作らない日にする

疲れが強い日や義務に感じる日は、買ってきたものや冷凍食品で済ませてかまいません。研究チームは、料理が義務や負担になると気持ちによくない場合もありうると述べ、自分で選んでするほうが心によいのではないかと考えています(この点はまだ測られていません)。

目安 作るのは週に数回まで

3

ときどき、誰かと一緒に作って食べる

家族や友人と、一品を一緒に作り、一緒に食べる時間をつくります。台北の調査では、家族で一緒に料理し食べる習慣が、家族の幸福感の高さと関連していました(原因かどうかはまだわかりません)。

目安 月に1〜2回

05よくある質問

一人暮らしで、料理を作る相手がいません。

香港の研究で調べたのは「誰かのために作る料理」で、自分のためだけの料理と心の関係ははっきりしていません。作り置きを友人や近所の人に分ける、たまに誰かを招くなど、できる範囲で試すくらいでかまいません。無理に相手を探す必要はありません。

料理が苦手でも、気分は上がりますか?

まだわかっていません。香港の研究では料理の腕前による違いは調べられていません。料理教室の研究のまとめでは、教室のあとに料理の自信が上がった研究が多く、簡単なものから始めると取り組みやすそうです。

毎日家族のごはんを作るのが負担です。それでも心によいのですか?

そうとは限りません。料理の回数が多い人ほど、いやな気分も強いという結果も出ており、研究チームは料理が負担になっている場合もありうると述べています。負担に感じるときは、作る回数を減らしたり、家族と分担したりすることも大切です。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Hui, B. P. H., Zhang, L., Ng, J. C. K., Lam, J. C. Y., Choi, E. P. H., Cheung, R. Y. H., & Wu, A. M. S. (2026). Cooking for others is food for the soul: Consistent momentary, but mixed trait-level well-being benefits for home cooks. Applied Psychology: Health and Well-Being, 18(1), e70121. https://doi.org/10.1111/aphw.70121
  2. da Fonseca, P. G., Siqueira, L. C., Raposo, A., Alslamah, T., Albaridi, N. A., Saraiva, A., & Guimarães, N. S. (2025). From kitchen to health: how culinary workshops influence eating habits, autonomy, and wellbeing in adults - A scoping review. Frontiers in Nutrition, 12, 1653406. https://doi.org/10.3389/fnut.2025.1653406
  3. Chen, Y. C., Lee, C. S., Chiang, M. C., Tsui, P. L., Lan, B. K., & Chen, Y. J. (2025). Nourishing Holistic Well-Being: The Role of Family Dynamics and Family Cooking. Healthcare, 13(4), 414. https://doi.org/10.3390/healthcare13040414