仕事とAIの不安

AIで仕事がなくなるかもという不安を、ためこまないために。米国の899人の追跡では、ふだん計画を立てる人ほど仕事の不安が後から下がりやすかった

約7分で読めます

わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理出典照合済み(2026-10-10)
黄色いメモ帳と鉛筆
Photo: Jonas Petersson (UU) / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

AIのニュースを見るたびに、自分の仕事はいつまであるのだろうと考えてしまう。まだ何も起きていないのに、気持ちだけが先に疲れていく。不安が大きくなってから慌てるより、ふだんから少しずつ備えておく方法はあるのでしょうか。仕事を失う不安の追跡研究と、AIや自動化への不安を集めた研究のまとめから、日頃の習慣として使えそうなことを整理します。

3行でわかる

  1. AIや自動化に仕事を置きかえられる不安は、96件の研究のまとめで、目先のストレスや、長く続く気分のよさが低いことと関連していました。
  2. 米国の働く人899人を約3か月追った研究では、ふだんから「どうするか計画を立てる」人ほど、仕事の不安が後から下がりやすい傾向がありました。
  3. 週に1回、変わりそうな作業と次の一歩を書き出す時間を取る。育てたい技術を1つ、話を聞ける人を1人決める。この2つが、研究から考えられる備え方です。

01 結論から言うとAIで仕事がなくなる不安に、日頃から備える方法はある?

ふだんから「どうするか」の計画を立てる人ほど、仕事を失うかもしれないという見通しが後から下がりやすい傾向が、米国の899人の追跡研究で見られました。ただし観察の研究で、AIの不安で確かめたものではありません。わかっている度は低めです。

研究では、今の仕事が続くかどうかわからないと感じている状態を「雇用不安(ジョブ・インセキュリティ)」と呼びます。AIやロボットに仕事を置きかえられるかもしれない、という不安も、その一つとして研究されています。

ここで言う「計画を立てる」は、立派な人生設計のことではありません。研究で使われた質問は「どうすればいいか、作戦を考えようとした」のような、困ったときにまず手順を考えるくせです。気持ちを落ち着かせることより、次に何をするかに目を向けるやり方です。

不安そのものは、考えすぎではありません。AIに仕事を奪われる不安の記事で紹介したとおり、職を失う不安は心の疲れと関連しています。この記事では、その不安をためこまないための、ふだんの備え方を扱います。

02 研究とデータでわかっていること計画を立てる習慣は、仕事の不安とどう関係していた?

米国の追跡研究では、計画を立てる習慣がある人ほど、最初の不安が低く、その後の不安の下がり方も大きい傾向がありました。オランダの大学の研究では、先の仕事に向けて動いた人ほど、2か月後の「仕事を失うかも」という見通しが低くなっていました。

96件AIや自動化に仕事を置きかえられる不安を調べた研究のまとめの規模。合計4万3,104人(2026年発表)
899人2020年3〜6月に5回、仕事の不安と対処のくせを調べた米国の働く人(2022年発表)
108人2か月おきに3回調べ、先の仕事に向けた行動と不安の関係を見た自営業の人(2021年発表)

Liangら(2026年) [1]

AIやロボットなどの技術に仕事を置きかえられる不安を調べた研究をまとめたメタ分析です。この不安が強い人ほど、目先のストレスが強く(相関0.41)、長く続く気分のよさが低い(相関−0.33)関連がありました。学歴の高い人が多い研究ほど、不安と目先のストレスの結びつきは弱めでした。一方、長く続く気分のよさとの関係は、調べた2つの条件のどちらでも弱まっていませんでした。

対象: 2000年〜2025年6月に発表された96件の研究、合計4万3,104人の働く人 / 限界: 多くは1回だけの調査です。学歴は研究ごとの割合を「学ぶ力」の目安として使ったもので、一人ひとりの学ぶ力を測ったわけではありません。

El Khawliら(2022年) [2]

コロナ禍が始まった2020年3月から6月まで、米国の働く人899人に5回、仕事の不安をたずねました。不安は最初の数週間で上がり、経済対策が決まった後は下がりました。ふだん計画を立てる人ほど、最初の不安が低く、下がる時期の下がり方も大きい傾向がありました。ただし、不安が上がる最初の時期には、計画を立てる習慣のよい関連は見られませんでした。著者は、計画の効果が出るまでには時間がかかるのかもしれない、と述べています。

対象: 米国の18歳以上で仕事をしている899人(ネットの調査サイトで募集、72%が大卒以上) / 限界: 観察の研究です。途中で答えなくなった人が多く、残った人は最初の不安が低めでした。

El Khawliら(2022年) [2]

同じ研究で、「考えないように、ほかのことをする」くせも調べられました。このくせが強い人は、最初の時点の不安がむしろ高めでした。一方で、不安が上がる最初の数週間には、不安の上がり方が小さい傾向がありました。気持ちの受け止め方を変えるくせは、不安の変化と関連していませんでした。

対象: 上と同じ899人 / 限界: 調べたのは、ふだんの対処のくせです。その場で何をしたかではありません。

KoenとvanBezouw(2021年) [3]

コロナ禍で国の支援を受けていた自営業の人を、2か月おきに3回調べました。先の数年の仕事を計画する、今は必要なくても将来に役立つ技術を身につける、助言をくれる人とのつながりを作る、といった行動が多い人ほど、2か月後の「仕事を失うかもしれない」という見通しが低くなっていました。また、仕事の先行きを心配する気持ちが強い人ほど、考えをまとめにくい状態にありました。

対象: 3回目まで答えた自営業の人108人(平均44.3歳) / 限界: 人数が少なく、観察の研究です。著者も、大きな集団で確かめる必要があるとしています。

03 まだわかっていないこと計画を立てれば、AIの不安は防げる?

まだわかっていません。計画を立てる習慣を身につけてもらい、AIへの不安が減るかを確かめた実験は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。紹介した研究は、コロナ禍の仕事の不安を観察したものです。

  • 計画を立てる人の不安が下がりやすかったのは、計画のおかげなのか、もともと余裕のある人だったからなのかは、区別できていません。
  • コロナ禍の不安は、経済対策のように「区切り」がありました。AIの変化はゆっくり長く続くため、同じように下がるかはわかりません。
  • 研究のまとめでは、長く続く気分のよさとの関係は、調べた条件では弱まっていませんでした。著者は、個人の工夫だけでなく職場の仕組みも必要だと書いています。

04 今日からできるセルフケアAIの仕事の不安をためこまないには?

週に1回、変わりそうな作業と次の一歩を書き出す時間を取ります。育てたい技術を1つ、話を聞ける人を1人決めます。不安なニュースを見た直後は、いったん別のことをしてかまいません。どれもお金をかけずにできます。

1

週に1回、「計画の時間」を15分取る

紙に3つだけ書きます。自分の仕事で変わりそうな作業、1か月以内にできる小さな一歩、迷ったときに聞ける人です。研究で不安の下がり方と関連していたのは、困ったときに手順を考えるくせでした。

目安 週1回・15分

2

育てる技術を1つ、話を聞ける人を1人決める

将来に役立ちそうな技術を1つだけ選び、少しずつ試します。同じ業界の人や先輩など、先の話をできる人にも声をかけます。自営業の人の研究では、こうした行動が多い人ほど、2か月後の不安な見通しが低くなっていました。

目安 技術は週に30分・人には月に1回

3

不安なニュースの直後は、いったん別のことをする

不安が急に高まったときは、散歩や家事など、ほかのことに気を向けてかまいません。最初の数週間は、そのくせがある人ほど不安の上がり方が小さめでした。ただ、そのくせが強い人はもともとの不安が高めだったので、落ち着いたら手順1に戻ります。

目安 その日のうちに10〜20分

一日中心配が頭から離れないときは 心配を1日30分にまとめる練習、学ぶ範囲が広すぎて追いつけないときは AIについていけない焦りの記事 も参考になります。不安が長く続いて心が折れそうなときは 立ち直る力を育てる練習 を紹介しています。

05よくある質問

AIに仕事を奪われるのが不安。今のうちに何をすればいい?

研究から言えるのは、気持ちを抑えこむより、「次に何をするか」を考える習慣が手がかりになりそう、ということです。米国の899人の追跡では、ふだん計画を立てる人ほど、仕事の不安が後から下がりやすい傾向がありました。ただし観察の研究で、効果を確かめた実験ではありません。

資格や勉強を始めれば、不安はなくなる?

なくなるとは言えません。自営業の人108人の研究では、将来に役立つ技術を身につけたり、先の仕事を計画したりする人ほど、2か月後の「仕事を失うかも」という見通しが低い傾向がありました。ただし不安そのものがなくなったわけではなく、人数も少ない研究です。

不安なときは、考えないようにしたほうがいい?

短い間なら役に立つかもしれません。米国の研究では、ほかのことに気を向けるくせがある人ほど、不安が高まる最初の数週間に、上がり方が小さい傾向がありました。一方でそのくせが強い人は、もともとの不安が高めでした。気をそらすのは一時的にして、落ち着いたら次の一歩を考えるのが、研究に沿った使い方です。

不安で頭が回らないのは、自分だけ?

自分だけではありません。自営業の人の研究では、仕事の先行きを心配する気持ちが強い人ほど、考えをまとめにくい状態にありました。頭が回らないときに大きな計画を立てる必要はありません。紙に1行だけ書くところから始められます。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

無料ツール
セルフチェックで「今日やること」をまとめる
当てはまる悩みを選ぶだけ。診断はせず、記事の対策を一覧にします。
研究早見表でほかの悩み109件も見る

出典

  1. Liang J, Wong C-H (2026). Navigating the Digital Storm: A Systematic Review and Meta-Analysis of Technology-Induced Job Insecurity, Its Outcomes and Moderators. Behavioral Sciences, 16(9), 1474. https://doi.org/10.3390/bs16091474
  2. El Khawli E, Keller AC, Agostini M, Gützkow B, Kreienkamp J, Leander NP, Scheibe S (2022). The rise and fall of job insecurity during a pandemic: The role of habitual coping. Journal of Vocational Behavior, 139, 103792. https://doi.org/10.1016/j.jvb.2022.103792
  3. Koen J, van Bezouw MJ (2021). Acting Proactively to Manage Job Insecurity: How Worrying About the Future of One's Job May Obstruct Future-Focused Thinking and Behavior. Frontiers in Psychology, 12, 727363. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2021.727363