画面と情報で頭がいっぱいの日、塗り絵で落ち着く?台湾の120人の実験では、20分のまんだらの塗り絵のあと、読書をした組より不安の点数が低かった

ニュース、チャット、AIの長い答え。一日じゅう文字を読み続けた夜は、頭の中がざわついたまま落ち着かないことがあります。そんなとき、色鉛筆で模様を塗るだけの「大人の塗り絵」は効くのでしょうか。短い実験では、10〜20分塗ったあとに不安の点数が下がる結果が出ています。ただし、どんな模様がよいかは研究で分かれていました。
3行でわかる
- 台湾の55〜75歳120人の実験では、20分のまんだら(円を基本にした模様)の塗り絵のあと、読書をした組より不安の点数が低かった。
- 英国とマレーシアの大学生の実験では、塗り絵や自由に描くことで不安が下がったが、まんだらかどうかで差はなかった。
- 多くは実験室での1回の結果。情報疲れの人を対象にした研究や、長く続けたときの効果は、まだ見当たらない。
01 結論から言うと頭がざわつく日、塗り絵は効く?
その場の不安を少し下げる方法として、試す価値はあります。10〜20分の塗り絵のあと、不安の点数が下がる実験がいくつかあります。ただし、模様の種類による違いや、長く続けたときの効果ははっきりしていません。
塗り絵は、決まった線の中に色を置いていく単純な作業です。考えなくてもできる一方で、手元から目を離すと線からはみ出します。そのため、注意が自然と手元に集まりやすい作業だと考えられています。
画面を見続けた疲れと違うのは、目に入る情報が増えないことです。紙と色鉛筆だけで、通知も新しい文字も届きません。
02 研究とデータでわかっていること塗り絵で、不安の点数は下がる?
短い実験では下がっています。台湾の120人の実験では、20分のまんだらの塗り絵のあと、読書の組より不安が低くなっていました。一方、英国とマレーシアの大学生の実験では、ほかの描き方や塗り方と差がありませんでした。
Kooら(2020年)[1]
台湾の55〜75歳の120人に、まず過去のこわかった出来事を思い出してもらい、不安を高めた。そのあと、まんだらの塗り絵、チェック柄の塗り絵、自由に描く、読書の4組に分かれて20分過ごした。読書の組より不安の点数がはっきり低かったのは、まんだらの組だけだった(28.2点と36.0点)。まんだらの組では「落ち着いた」「くつろいでいる」「休まった」などの項目もよくなっていた。
対象: 台湾南部の高齢者向け学習センター18か所に通う、平均65.1歳の120人(女性73.3%) / 限界: 1回20分の効果だけを見ている。使ったまんだらは1種類で、続く不安に効くかはわからない。
MantziosとGiannou(2018年)[2]
英国の大学生で2つの実験をした。1つ目では、10分間まんだらを塗る組と、自由に描く組を比べた。どちらの組も不安の点数が下がり、組の間に差はなかった。2つ目の72人の実験では、瞑想の講師が「色が紙に移るのを感じて」などと声で導きながら塗る組だけ、不安がはっきり下がった。声の案内なしで塗った組では下がらなかった。
対象: 英国の大学生。1つ目は18〜26歳の84人を分析、2つ目は72人(女性68人) / 限界: 声の案内を好まなかった人もいた。実験室での1回の結果。
Changら(2026年)[3]
不安が中くらい以上のマレーシアの大学生60人が、20分間、模様の入ったまんだらか、白い円だけの紙を塗った。不安の点数はどちらの組でも下がり、組の間に差はなかった。脳波では、まんだらの組で、くつろぎや集中と関わるとされる前頭部の「アルファ波」が増えていた。
対象: マレーシア科学大学の18〜25歳60人 / 限界: 人数が少なく、1回の結果。脳波の変化が気分の変化を意味するとは言い切れない。
PehlivanとDallı(2026年)[4]
入院中の大人を対象に、まんだらの塗り絵を調べた17件・987人の研究のまとめ。不安(9件)やストレスは、比べた組より下がっていた。30分以内の短い回や、何回か重ねる方法が、不安の軽減に効果的だった。
対象: がんなどで入院中の大人 / 限界: 研究どうしの結果のばらつきが大きく、根拠の確かさは「低い」とされた。健康な人や情報疲れの人の研究ではない。
03 まだわかっていないことまんだらでないと意味がない?
まだ結論は出ていません。まんだらだけが読書より不安を下げた実験と、自由に描くのや白い円を塗るのと差がなかった実験があります。情報疲れや画面疲れの人を対象にした研究も、まだ見当たりません。
- 模様の種類による違い。台湾の実験ではまんだらだけに差が出たが、英国とマレーシアの実験では差がなかった。
- 毎日続けたときの効果。紹介した実験は、ほぼすべて1回10〜20分の、その直後の変化を見ている。
- 塗り絵そのものの効果か、静かに座って手を動かす時間の効果かは、切り分けられていない。
- スマホやタブレットで塗る場合に、紙と同じ結果になるか。
04 今日からできるセルフケア頭がざわつく夜、塗り絵をどう試す?
画面を閉じて、紙の塗り絵を10〜20分塗ります。模様はまんだらから試し、合わなければ自由に描くのでもかまいません。塗る前と後の気分を数字でつけて、自分に合うか確かめます。
紙の模様を、10〜20分だけ塗る
円を基本にした模様を、線の中に色を置くことだけに集中して塗ります。手持ちの裏紙に円を描いて、その中を塗るだけでもかまいません。
目安 1回10〜20分
色が紙に移る感じに、注意を向ける
声で導きながら塗った組で不安が下がった実験にならい、鉛筆を持つ手の感覚や、色が広がる様子に気づくようにします。考えごとが浮かんだら、手元に戻ります。
目安 塗っている間ずっと
前と後で、ざわつきを10点満点でつける
実験では、活動の前後に今の気分を答えていました。3回ほど試して下がらないなら、別の方法に切り替えます。
目安 1回30秒、3回試す
頭の中のやることが多すぎるときは紙に書き出して「次の一手」を決める方法を、静かに座る方法が合う人はマインドフルネス瞑想の研究を読めます。体の力が抜けないときは力を入れてから抜く筋弛緩法、仕事中なら10分以内の短い休憩の研究も参考になります。
05よくある質問
大人の塗り絵に、ストレスや不安を下げる効果はある?
短い時間の実験では、塗り絵のあとに不安の点数が下がる結果が出ています。台湾の55〜75歳120人の実験では、20分のまんだらの塗り絵のあと、読書をした組より不安が低くなっていました。ただし実験室での1回の結果が中心で、長く続けたときの効果はまだわかっていません。
まんだら模様でないと効果はない?
結果は分かれています。台湾の実験では、読書より不安が低かったのはまんだらの組だけでした。一方、英国の大学生の実験では、まんだらを塗る組と自由に描く組で、不安の下がり方に差はありませんでした。マレーシアの実験でも、まんだらと白い円の塗り絵で差はありませんでした。
何分くらい塗ればいい?
実験で使われていたのは、10分か20分です。英国の研究者は、事前の試しで10分と20分に差は見られなかったと書いています。入院中の人の研究のまとめでも、30分以内の短い回や、何回か重ねる方法が、不安の軽減に特に効果的だったと報告されていました。
スマホの塗り絵アプリでも同じ?
わかっていません。ここで紹介した実験は、どれも紙と色鉛筆などを使ったものです。画面の中で塗る場合に同じ結果になるかは、調べられていません。画面と情報で疲れた日なら、紙で試すほうが画面から離れる時間にもなります。
つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
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出典
- Koo, M., Chen, H.-P., & Yeh, Y.-C. (2020). Coloring Activities for Anxiety Reduction and Mood Improvement in Taiwanese Community-Dwelling Older Adults: A Randomized Controlled Study. Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine, 2020, 6964737. https://doi.org/10.1155/2020/6964737
- Mantzios, M., & Giannou, K. (2018). When Did Coloring Books Become Mindful? Exploring the Effectiveness of a Novel Method of Mindfulness-Guided Instructions for Coloring Books to Increase Mindfulness and Decrease Anxiety. Frontiers in Psychology, 9, 56. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2018.00056
- Chang, X. N., Othman, A., Yusoff, N., & Zulkifly, M. F. M. (2026). Effects of Mandala Coloring on Alpha Brain Activity and Anxiety Symptoms among Students at Universiti Sains Malaysia: A Randomized Controlled Trial. Consortium Psychiatricum. https://doi.org/10.17816/cp15784
- Pehlivan, S., & Dallı, Ö. E. (2026). The effectiveness of mandala coloring on the psychological and physiological symptoms in adult hospitalized patients: a meta-analysis. BMC Complementary Medicine and Therapies. https://doi.org/10.1186/s12906-026-05404-4


