就活中、SNSで周りの内定報告を見て焦りそう。中国の大学生2,008人の調査では、求人や業界の情報を取りに行く使い方の人ほど、就職の不安が低かった

就活が始まると、SNSには「内定いただきました」「最終面接に進みました」という報告が流れてきます。まだ結果が出ていない時期に見ると、自分だけ遅れている気がして焦ることがあります。中国の調査では、SNSをよく使う人ほど就職の不安が強く、その結びつきの半分以上は「自分より上の人と比べること」を通っていました。一方で、求人や業界の情報を取りに行く使い方をする学生ほど、不安は低めでした。就活の前から、SNSの使い方を決めておくことが備えになりそうです。
3行でわかる
- 中国の18〜44歳の1,204人の調査では、SNSをよく使う人ほど就職の不安が強く、その結びつきの約58%は「自分より上の人と比べること」を通っていた。
- 中国の大学生2,008人の調査では、求人や業界の動き、面接のコツなど、仕事探しの情報を取りに行く使い方をする人ほど、就職の不安が低かった。
- どちらも1回きりのアンケートで、因果関係はわかっていない。見る目的を決める、報告の投稿を一時的に見えなくする、などはお金をかけずに始められる。
01 結論から言うと就活中にSNSを見ると焦るのは、なぜ?
SNSには、選考の通過や内定など、うまくいった報告が目に入りやすいためと考えられます。中国の調査では、SNSをよく使う人ほど自分より上の人と比べやすく、比べる人ほど就職の不安が強いという結びつきが見られました。
就活の報告は、うまくいったときに投稿されやすく、落ちた話は表に出にくいものです。そのため、SNSを眺めていると「周りはみんな進んでいる」ように見えます。
ただし、SNSを使うこと自体が悪いとは言えません。仕事探しの情報を集める使い方をしている学生では、むしろ不安が低めでした。違いが出やすいのは、「何のために、何を見るか」だと考えられます。この記事では、焦りが強くなる前に決めておけることを扱います。
02 研究とデータでわかっていることSNSの使い方と就職の不安は、どう結びつく?
SNSを使う度合いが強い人ほど就職の不安が強く、その半分以上は上と比べることを通っていました。一方、仕事探しの情報を取りに行く使い方は、不安の低さと結びついていました。どちらも中国の調査です。
Jinら(中国、2024年)[1]
SNSを日常的によく使う人ほど、就職の不安が強い傾向がありました。分けて調べると、その結びつきの約58%は「自分より上の人と比べる傾向」を通っていました。上と比べる傾向と就職の不安の相関は0.49でした。また、上と比べることが不安と結びつく度合いは、自分を肯定的に見られる人(自尊心が高い人)では弱めでした。
対象: 中国の31の省・直轄市などの18〜44歳の1,204人(2023年にネットで回答) / 研究デザイン: 1回きりのアンケート調査 / 限界: 因果関係はわからず、不安な人がSNSをよく見るようになった可能性もあると研究者自身が述べています。
Liuら(2026年)[2]
調べたのは、求人を探す、業界の動きを追う、面接のコツを学ぶ、といった仕事探しのためのSNSの使い方です。こうした使い方をする学生ほど、就職の不安が低い傾向がありました(相関−0.40)。こうした使い方をする人ほど、情報や助言をくれる人のつながりを多く持っていて、そのつながりの多さも不安の低さと結びついていました。この尺度は、娯楽や、なんとなく眺める使い方は含めていません。
対象: 中国の27の省などの大学生2,008人 / 研究デザイン: 1回きりのアンケート調査(知り合いを通じて回答を集める方法) / 限界: 有名大学の学生ほどこうした使い方が多く不安も低かったため、大学の違いなどが結果に混ざっている可能性があります。
Leiら(2026年)[3]
ネット上で自分より上の人と比べることは、心の不調のさまざまな指標と関連していました(平均の相関0.330)。不安との相関は0.382で、ねたみや人からの評価へのおそれなど、人との関係で生じるつらい気持ちとの相関がいちばん強く0.438でした。年齢や文化による違いは見られませんでした。
対象: 54の集団・3万6,583人分の研究のまとめ / 限界: 関連をまとめたもので、比べることが不調を生むという因果関係は確かめられていません。就活に限った研究のまとめではありません。
03 まだわかっていないことSNSの使い方を変えれば、就活の焦りは防げる?
まだ結論は出ていません。紹介した研究はどれも1回きりの調査で、使い方を変えたら不安が減るかを確かめた実験は見つかりませんでした。日本の就活生を調べた研究も見つかっていません。
- どちらの調査も、使い方と不安を同じ時に聞いたものです。不安の強い人ほど人の報告が気になって見てしまう、という逆の向きの可能性もあります。
- 中国の大学生の調査では、有名大学の学生ほど仕事探しのためにSNSを使い、不安も低い傾向がありました。使い方そのものの影響なのか、置かれた環境の違いなのかは区別できていません。
- 1,204人の調査では、ネット上で支えてくれる人がいると感じる人ほど、就職の不安がやや強いという、予想と逆の結果も出ていました。理由はまだわかっていません。
- 中国の就職事情の中での結果で、日本の就活の時期や仕組みで同じ結果になるかはわかっていません。
04 今日からできるセルフケア就活の焦りをためないために、前もってできることは?
SNSを開く目的を「情報を取りに行く」に決めておくこと、人の報告が流れてくる場所を一時的に見えなくすること、比べる相手を前の自分にすることです。どれもお金をかけずに始められます。
SNSを開く前に、取りに行く情報を1つ決める
「志望業界の説明会の日程」「面接の質問例」など、探すものを1つ決めて開き、見つけたら閉じます。中国の大学生の調査では、こうした仕事探しのための使い方をする人ほど不安が低めでした。
目安 1回10分まで
内定報告が多い時期は、報告が流れる場所を一時的に見えなくする
就活の報告が集まるアカウントやグループを、選考の多い時期だけミュートや非表示にします。相手との関係は切らずに、目に入る回数だけを減らせます。比べる機会そのものを減らす工夫です。
目安 設定に3分、選考の多い時期だけ
比べるなら「1か月前の自分」と比べる
週に1回、「書いたエントリーシートの数」「面接で答えられるようになったこと」を書き出し、1か月前と比べます。人の結果ではなく、自分の進み具合に目を向けるための記録です。
目安 週1回5分
焦ったら、SNSではなく人に話す相手を決めておく
大学のキャリアセンターの相談員や、話しやすい先輩・友人など、焦ったときに話せる相手を1人決めておきます。情報や助言をくれる人のつながりが多い学生ほど、不安が低めだったという調査もあります。
目安 相手を決めるのに5分
仕事用のSNSで人の経歴を見て目標を下げたくなるときは キャリアの比較と目標の記事、比べる相手を前の自分にする習慣は 前の自分と比べる記事 で詳しく紹介しています。
05よくある質問
就活中にSNSを見て焦るのは、自分が遅れているから?
そうとは限りません。SNSには、選考の通過や内定など、うまくいった報告が集まりやすく、落ちた話は表に出にくいものです。中国の1,204人の調査では、SNSをよく使う人ほど上と比べやすく、比べる人ほど就職の不安が強い傾向がありました。
就活中はSNSをやめたほうがいい?
やめる必要があるかは、研究ではわかっていません。中国の大学生2,008人の調査では、求人や業界の動き、面接のコツなど、仕事探しの情報を取りに行く使い方をする人ほど不安が低めでした。見る目的を決めて使う方法から試せます。
友達の内定を素直に喜べない自分が嫌になる
焦りやねたみが出るのは、人と比べたときによく起きる反応です。研究のまとめでも、ネットで上と比べることは、ねたみや評価へのおそれと結びつきやすいことが示されています。報告が流れる場所を選考の多い時期だけ見えなくするなど、比べる機会を減らす工夫ができます。
つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
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出典
- Jin T, Chen Y, Zhang K (2024). Effects of social media use on employment anxiety among Chinese youth: the roles of upward social comparison, online social support and self-esteem. Frontiers in Psychology, 15, 1398801. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2024.1398801
- Liu T, Qi L, Feng D, Wang Z (2026). A study on the impact of college students' employment-oriented social media use on employment anxiety: a dual mediation effect based on social capital and risk perception. Frontiers in Psychology, 17, 1918154. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1918154
- Lei Y, Hu S, Sun Y, Zheng L (2026). "Looking up" linked to feeling down: a meta-analysis of online upward social comparison and psychological maladjustment. Frontiers in Psychology, 17, 1825169. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1825169


