SNSで見た目を比べて落ち込むのを、前もって防ぎたい。168人の実験では、見る前に10分の瞑想を聞いた人は、理想的な写真を見ても気分が悪化しにくかった

加工された写真や、整った見た目の投稿が次々に流れてくるSNS。見ないようにしたくても、仕事や連絡でアプリを開く機会はなくなりません。それなら、見る前に心の準備をしておくことはできるでしょうか。研究では、見る前に10分の瞑想を聞いたり、自分を思いやる短い文章を書いたりした人は、理想的な写真を見たあとも落ち込みにくい傾向でした。
3行でわかる
- 中国の18〜35歳の女性168人の実験では、10分の瞑想の音声を聞いてから理想的な体型の写真を見た人は、自然の朗読を聞いた人より、見たあとの気分が悪化しにくくなっていました。
- 米国とカナダの女性230人の実験でも、見る前に自分を思いやる文章を書いた人は、写真を見たあとも体への不満が増えにくい結果でした。
- どちらも1回きりの短い実験で、体への不満の差がはっきりしない結果もありました。見る前の数分の準備は、お金をかけずに試せる予防の一つです。
01 結論から言うとSNSで見た目を比べる落ち込みは、前もって防げる?
見る前の短い練習が、落ち込みをやわらげる可能性はあります。瞑想や、自分を思いやる文章を書く練習を見る前にした人は、理想的な写真を見たあとも気分や体への不満が悪化しにくい傾向でした。ただ、研究はまだ少なく、効果の大きさは確かではありません。
ここでいう瞑想は「マインドフルネス」と呼ばれる練習で、呼吸や体の感覚に注意を向け、浮かんだ考えや気持ちを良い悪いと決めつけずに眺めるものです。自分を思いやる練習は「セルフ・コンパッション」と呼ばれ、つらいときの自分に、友だちにかけるような言葉をかける練習です。
SNSを見ると人と比べてしまうのは、意志が弱いからではありません。比べる気持ちが起きることを前提に、見る前に受け止め方を整えておく。そうした予防の考え方を、研究が少しずつ確かめ始めています。
02 研究とデータでわかっていること見る前の短い練習で、何が変わった?
10分の瞑想の音声を聞いた人は、理想的な写真を見たあとも気分が悪化しにくく、朗読を聞いた人との差ははっきりしていました。体への不満は悪化しにくい方向でしたが、2つのグループの差は統計的に確かとは言えませんでした。
Zhang, Zhang / 北京交通大学(2026年)[1]
参加者をくじで2つのグループに分け、片方は10分の瞑想の音声を、もう片方は自然についての文章の朗読を10分聞いてもらいました。その後、中国のSNS「小紅書」を再現したページで、理想的な体型の写真12枚を見て自分と比べてもらいました。音声を聞いた直後は、どちらのグループも気分と体への不満がよくなっていました。写真を見たあと、朗読のグループは気分も体への不満もはっきり悪化しましたが、瞑想のグループはどちらも大きな変化がありませんでした。気分の変化の差ははっきりしていた一方、体への不満の差は、悪化しにくい方向ではあったものの、統計的に確かとは言えませんでした。
対象: 中国の18〜35歳の女性168人(オンラインの実験) / 限界: 1回きりの短い実験で、写真を決まった時間見る形でした。ふだんのSNSの見方や、数日後の気分に当てはまるかはわかりません。気分や不満は本人の回答で測っています。
Gobin, McComb, Mills(2022年)[2]
オンラインの実験で、片方のグループには自分を思いやる短い文章を書いてもらい、もう片方には単純な仕分けの作業をしてもらいました。その後、研究用に用意したInstagramのページで、細い体型の理想的な写真と自分を比べてもらいました。文章を書いたグループは、体重や見た目への不満が下がり、写真を見たあともその状態が保たれていました。仕分けのグループは、写真を見たあと体への不満が増えていました。
対象: 米国とカナダの女性230人(平均約26歳) / 限界: 要旨と研究のまとめで確認できた範囲の紹介です。1回きりの短い実験で、著者らも予備的な結果としています。
Manjanatha, Pippard, Bloss / カリフォルニア大学サンディエゴ校ほか(2025年)[3]
2010年から2024年10月までに発表された、セルフ・コンパッションとSNSと心の健康の関係を調べた30件の研究(32グループ、合計11,991人)をまとめました。自分を思いやる力がSNSの悪い影響から守る働きをする可能性はあるものの、その大きさや仕組みははっきりせず、結果は研究によって分かれていました。
対象: 30件の研究(19件はある時点だけの調査、11件は介入などの研究。参加者の多くは女性) / 限界: 原因と結果を確かめにくい調査が中心で、SNSの使い方の測り方も研究ごとにばらばらでした。
03 まだわかっていないこと見る前の練習は、毎日のSNSでも効く?
まだわかっていません。紹介した実験は、どれも研究用のページで写真を見た1回きりの結果です。毎日のSNSで続けたとき、効果が続くのか、慣れて弱まるのかは調べられていません。
- 瞑想の実験では、体への不満について2つのグループの差は統計的に確かとは言えず、効果の大きさははっきりしていません。
- 対象は成人の女性が中心で、男性や10代、高齢の人に同じ結果が出るかはわかりません。日本の人を対象にした同じ実験も見当たりません。
- 何分の練習が適切か、瞑想と自分を思いやる文章のどちらが合うのかを比べた研究は見当たりません。
- AIで作られた人物の写真と比べる場合も同じかどうかは、まだ調べられていません。
04 今日からできるセルフケアSNSを開く前に、何をしておけばいい?
開く前に数分〜10分、呼吸に注意を向ける。比べて落ち込みそうな日は、自分にかける言葉を一文書いておく。見たあとに気分を確かめて、落ちていたら閉じる。どれもお金をかけずにできる工夫です。
開く前に、呼吸に注意を向ける時間をとる
座って目を閉じ、息が入って出ていく感覚に注意を向けます。考えが浮かんだら、良い悪いを決めずに気づくだけにして、呼吸に戻ります。実験では10分の音声を使っていました。
目安 数分〜10分・SNSを開く前に1回
自分にかける言葉を、一文書いておく
「比べて落ち込むのは誰にでもあること」「見た目だけで自分の価値は決まらない」など、友だちにかけるような言葉をメモに書きます。見る前に書いておくと、比べたあとに読み返せます。
目安 2〜3分
見たあとに、気分を一度確かめる
SNSを閉じる前に「今の気分は見る前より重いか」を確かめます。重くなっていたら、その日は比べやすいアカウントを見るのをやめて、別のことに移ります。
目安 10秒・見終わるたびに
比べたあとに落ち込んだときの対処は「SNSのきれいな写真と比べて、自分の見た目が気になる」で、自分を責めてしまうときの思いやりの練習は「人と比べて自分を責めてしまう」で、SNSとの距離の取り方は「SNSで他人と比べて落ち込む」で整理しています。
05よくある質問
瞑想でなくても、ほかのことで気分を整えれば同じ?
この実験では、自然についての朗読を10分聞いた人も、聞いた直後は気分と体への不満がよくなっていました。ただ、その後に理想的な写真を見ると、朗読の人は元に戻ってしまい、瞑想の人は悪化しにくいという差が出ました。見る前に落ち着くだけでなく、見ている間の受け止め方が関わっている可能性があります。
瞑想は毎日しないと意味がない?
この記事で紹介した実験は、SNSを見る直前に1回聞いた効果を調べたものです。毎日続けた場合にSNSでの比較がどう変わるかは、ここで紹介した研究では調べられていません。続けるかどうかは、自分に合うかを確かめながら決めてかまいません。
男性や10代にも当てはまる?
まだわかりません。紹介した2つの実験は、どちらも成人の女性が対象でした。セルフ・コンパッションとSNSの研究のまとめでも、対象の多くは女性で、男性や年代による違いは十分に調べられていないとされています。
つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
無料ツール
セルフチェックで「今日やること」をまとめる
当てはまる悩みを選ぶだけ。診断はせず、記事の対策を一覧にします。
研究早見表でほかの悩み210件も見る
出典
- Zhang, X., & Zhang, Z. (2026). Brief mindfulness meditation protects Chinese young women's body image from appearance-focused social media exposure: An online randomized controlled trial. Healthcare, 14(1), 120. https://doi.org/10.3390/healthcare14010120
- Gobin, K. C., McComb, S. E., & Mills, J. S. (2022). Testing a self-compassion micro-intervention before appearance-based social media use: Implications for body image. Body Image, 40, 200–206. https://doi.org/10.1016/j.bodyim.2021.12.011
- Manjanatha, D., Pippard, N., & Bloss, C. S. (2025). Self-compassion as a protective factor against adverse consequences of social media use: A scoping review. PLoS ONE, 20(5), e0322227. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0322227


