考える力・集中

物忘れや集中力の衰えが気になって、自信をなくした。ハンガリーの若い大人125人の研究では、記憶への満足度はテストの成績と結びつかず、気分の落ち込みや不安と結びついていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理
窓辺の机で書きものをする子どもの後ろ姿
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

名前が出てこない。読んだはずの文章が頭に残らない。そんなことが続くと「自分の頭はもう前のようには働かないのでは」と自信が揺らぎます。研究では、記憶への自信の低さは、実際のテストの成績より、気分の落ち込みや不安、眠りの質と結びついていました。立て直しは、記憶を鍛え直すより先に、気分と眠りと仕組みを整えるところから始められます。

3行でわかる

  1. ハンガリーの18〜28歳の125人では、自分の記憶への満足度と、記憶や考える力のテストの成績の間に、はっきりした結びつきは見られなかった。
  2. 同じ研究で、記憶への満足度が低い人ほど、落ち込みや不安の得点が高く、眠りの質も低い傾向があった。
  3. 不眠と集中・記憶の悩みがある410人の試験では、眠りを整えるオンラインのプログラムで「頭が働かない」という感覚が減った。テストの成績は対照の組と差がなかった。

01 結論から言うと物忘れの多さは、記憶力の衰えのせい?

そうとは限りません。若い大人の研究では、記憶への満足度とテストの成績の結びつきは見られず、落ち込みや不安、眠りの質のほうと結びついていました。自信をなくした感覚は、能力そのものより、心と眠りの状態を映していることがあります。

「物忘れが増えた」と感じるとき、人は自分の能力が落ちたと考えがちです。けれども、自分の記憶をどう感じるか(主観的な記憶)と、テストで測った記憶は、同じものではありません。

研究者は、不安が強いと注意の向け方が乱れやすいことや、落ち込んでいると自分のミスに目が向きやすいことを、説明の候補に挙げています。つまり、つらい時期ほど「できなかったこと」が目立ちやすいのです。

02 研究とデータでわかっていること記憶への自信は、何と結びついている?

記憶への自信は、テストの成績よりも、落ち込みや不安、眠りと結びついていました。眠りが整うと、困りごとの感じ方は減っていました。一方で、テストの成績は変わっていませんでした。

125人ハンガリーの18〜28歳。記憶への満足度とテストの成績に、はっきりした結びつきなし(2025年)
−0.44同じ125人で、落ち込みの得点と記憶への満足度の相関(中程度。不安とは−0.46)
410人不眠と集中・記憶の悩みがある25歳以上。眠りのプログラムで困りごとの感覚が減った(2020年)

Csábiら(2025)[1]

若い大人では、自分の記憶への満足度と、記憶・作業記憶・考える力などのテストの成績に、はっきりした結びつきは見られなかった。満足度が低い人ほど、落ち込みや不安、不眠の得点が高かった。

記憶への満足度との相関は、落ち込みの得点で−0.444、不安の得点で−0.458、不眠の得点で−0.355でした。どれも、得点が高い人ほど満足度が低いという向きです。「最近の物忘れの多さ」の自己評価も、テストの成績とは結びつかず、落ち込みの得点と結びついていました。

対象: ハンガリーの大学などで募った18〜28歳の125人(平均21歳) / 限界: 一度に測った研究で、落ち込みが記憶の自信を下げるのか、その逆なのかはわからない。

Kyleら(2020)[2]

不眠に悩み、集中や記憶の困りごとも感じている人が、不眠の認知行動療法をオンラインで受けた。眠りの習慣と考え方を整える方法だ。10週後、「頭が働かない」という感覚は、順番待ちの組より減っていた。24週後も続いていた。

減り方の一部は、不眠の重さが軽くなり、眠りの効率が上がったことで説明されていました。日常の「うっかり」、疲れ、落ち込み、不安もよくなっていました。ただし、オンラインで測った認知のテストの成績は、2つの組で差がありませんでした。

対象: 不眠症の診断基準に当てはまり、集中や記憶の困りごとがある25歳以上の410人 / 限界: 比べた相手は順番待ちの組で、偽のプログラムではない。不眠の診断がない人に同じことが言えるかはわからない。

Nelsonら(2021)[3]

ストレスによる疲弊で治療中の人は、健康な人より日常の「うっかり」をずっと多く報告していた。一方、テストの成績の差は小さく、どちらの組でも、困りごとの感覚はテストの成績と結びついていなかった。

日常のうっかりの得点(0〜100点)の平均は、患者の組で55.50点、健康な組で32.19点でした。患者の組は特に、周りに手がかりがない場面で自分から思い出す用事の失敗を、多く報告していました。研究者は、外の手がかりを使う工夫が役立つ可能性を挙げています。

対象: スウェーデンで疲弊障害と診断され、12週のリハビリ中の103人と、年齢と性別をそろえた健康な58人 / 限界: 一度に測った研究で、診断を受けた人が対象。

燃え尽きのあとの物忘れが年単位でどう変わるかは、燃え尽きと物忘れの追跡研究の記事で、ストレスが去ったあと注意の働きが戻った研究は、ストレスと集中の記事で紹介しています。

03 まだわかっていないこと気分が晴れれば、記憶の自信は戻る?

まだはっきりしていません。記憶の自信と気分の結びつきは確かめられていますが、どちらが先かは、一度に測った研究からはわかりません。眠りの試験も、不眠のある人が対象でした。

  • 落ち込みが記憶の自信を下げるのか、記憶の失敗が続いて落ち込むのか。研究者自身も「まだわからない」と書いている。
  • 若い大人の研究は125人の1件で、別の研究ではテストの成績と結びついた結果もある、と論文は紹介している。
  • 眠りのプログラムの試験は不眠症の人が対象で、眠りに大きな問題がない人に同じ効果があるかは確かめられていない。
  • AIやスマホの使い方と、記憶の自信との関係は、この3つの研究では調べられていない。

04 今日からできるセルフケアなくした自信は、どう取り戻す?

記憶力を責めたり鍛え直したりする前に、眠りと気分を振り返り、自分から思い出す用事を外の手がかりに任せます。そのうえで、できたことにも目を向けます。どれもお金はかかりません。

1

結論を出す前に、ここ2週間の眠りと気分を振り返る

「頭が落ちた」と決める前に、寝つき、夜中に目が覚める回数、気分の重さを紙に書き出します。物忘れが多い時期と、眠りや気分が乱れた時期が重なっていないかを見ます。

目安 5分・週1回

2

「自分から思い出す用事」を外の手がかりに任せる

あとで送る返信、帰りに買う物など、きっかけのない用事は忘れやすい種類です。思いついたその場で、アラームや付箋、目につく場所に置いたメモに移します。

目安 1回10秒・思いついたとき

3

起きる時刻をそろえて、眠りを先に整える

平日も休日も、起きる時刻をできるだけ同じにします。寝る時刻が不規則な人ほど昼間の働きが落ちやすい研究は、不規則な睡眠と集中の記事にまとめています。

目安 毎朝・2週間続けてみる

4

失敗の数だけでなく、覚えていられたことも1つ書く

落ち込んでいる時期は、自分のミスに目が向きやすくなります。一日の終わりに、忘れずにできた用事を1つだけメモして、失敗だけの記録にしないようにします。

目安 1分・寝る前

05よくある質問

物忘れが増えたのは、AIやスマホに頼っているせい?

この記事で紹介した3つの研究は、AIやスマホの使い方を調べていません。記録を外に任せると覚えにくくなる条件については、スマホと物忘れの記事で整理しています。

若いのに物忘れがひどいと感じるのは、おかしいこと?

若い大人でも記憶の悩みが増えている、と研究者は書いています。ハンガリーの研究では、気になる度合いはテストの成績より、落ち込みや不安と結びついていました。ただし物忘れで仕事や生活に支障が続くときは、医療機関に相談できます。

テストで差が出ないなら、困っている感覚は気のせい?

気のせいとは言えません。スウェーデンの研究者は、日常の困りごとの感覚とテストの成績は、認知の別の面を測っている可能性があると書いています。日常は気が散るものが多く、メモも使える点で、静かな検査室とは条件が違います。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Csábi E, Kovács FM, Volosin M (2025). Predictors of subjective memory functioning in young adults. BMC Psychiatry, 25, 155. https://doi.org/10.1186/s12888-025-06568-y
  2. Kyle SD, Hurry MED, Emsley R, et al. (2020). The effects of digital cognitive behavioral therapy for insomnia on cognitive function: a randomized controlled trial. Sleep, 43(9), zsaa034. https://doi.org/10.1093/sleep/zsaa034
  3. Nelson A, Gavelin HM, Boraxbekk CJ, et al. (2021). Subjective cognitive complaints in patients with stress-related exhaustion disorder: a cross sectional study. BMC Psychology, 9, 84. https://doi.org/10.1186/s40359-021-00576-9