比べて落ち込む

SNSで見た目を比べて落ち込まないよう、流れてくる投稿を選びたい。米国の326人の実験では、やせることをすすめる動画を見た組だけ体への不満が下がらず、体を受け入れる動画や旅の動画を見た組では下がっていた

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理
朝のラベンダー畑
Photo: Big Ben in Japan from Kawasaki, Japan / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

SNSを開くと、おすすめの欄に引き締まった体や細い脚の動画が次々に流れてくることがあります。見ているうちに自分の体と比べて、気分まで沈んでしまう。SNSをやめるのは難しくても、何を見るかは少し選べます。米国の326人の実験では、やせることをすすめる動画を見た組だけ体への不満が下がらず、体を受け入れる動画や旅の動画を見た組では下がっていました。

3行でわかる

  1. 米国の326人の実験で、やせることをすすめる5分の動画を見た組は体への不満が下がらず、前向きな気分が下がった。体を受け入れる動画や旅の動画の組では、体への不満が下がった。
  2. ドイツの女性143人の7日間の記録でも、体を鍛える・やせる投稿を見た直後ほど体への不満が強く、その間を「自分より上の体との比較」がつないでいた。
  3. 見た目の投稿を全部避けるより、気分が沈む種類の投稿を見分けて減らし、別の投稿に置き換えるのが研究に近い予防策。ただし長く続けた効果はまだわかっていない。

01 結論から言うと見た目で比べないために、何を見ればいい?

研究で気分と体への満足を下げていたのは、やせることや細さをすすめる投稿でした。体を受け入れる投稿や、見た目と関係のない投稿を見た人では、体への不満が下がっていました。「何を流すか」を選ぶことは、比べて落ち込むのを防ぐ手がかりになりそうです。

SNSでの比較は、見る量だけでなく、見る中身でも変わります。米国の実験では、同じ5分でも、どんな動画を見たかで、見たあとの体への不満と気分が分かれました。

ここでいう「体を受け入れる投稿」には2種類あります。どんな体も肯定しようと伝える「ボディ・ポジティブ」と、見た目のよしあしから距離を置き、体の働きや自分の価値に目を向ける「ボディ・ニュートラル」です。実験では、どちらも、やせることをすすめる動画より、見たあとの体への不満が低くなっていました。

02 研究とデータでわかっていること見る投稿で、気分はどう変わった?

やせることをすすめる動画の組は、体への不満が下がらず、前向きな気分が下がりました。ほかの3つの組では体への不満が下がりました。ふだんの生活の記録でも、やせる系の投稿を見た直後ほど、体への不満が強くなっていました。

58→61点やせることをすすめる動画を見た組の、体への不満(1〜100点)。見る前と後で変化ははっきりしなかった(米国、2024年)
54→46点体を肯定する動画を見た組の、体への不満。体の働きに目を向ける動画の組でも59点から51点に下がった
約3分の1摂食障害の申告がないドイツの女性で、SNSを使った回のうち、体を鍛える投稿を見た回の割合(平均)
56件体を肯定する投稿の研究のまとめに入った研究の数。比べる傾向への効果は限られていた

Kilby・Mickelson / アリゾナ州立大学(2025)[1]

TikTokを使う米国の326人を4つの組に分け、5分の動画(約20本)を見てもらいました。動画の内容は、①体を肯定するもの、②体の働きに目を向けるもの、③やせることや細さをすすめるもの、④旅の風景でした。③の組だけ体への不満(1〜100点)が下がらず(58点→61点)、前向きな気分も下がりました。①②④の組では体への不満が下がっていました(①54点→46点、②59点→51点、④54点→50点)。

対象: 米国の18〜67歳(平均35歳)、女性とジェンダーの多様な人326人。2024年にネットで実施 / 限界: 1回5分の動画を見た直後だけの測定で、その後どれくらい続くかはわからない。

この実験で目を引くのは、旅の動画の組でも体への不満が下がっていたことです。見たあとの体への不満で、やせる系の組との差が報告されたのは①②④の3つの組で、この3つの組どうしの差は報告されていません。旅の動画の組は、見た目について考える回数そのものが、ほかの組より少なくなっていました(0〜4点で0.72点、ほかの3組は2.31〜2.41点)。

一方、体を受け入れる動画を見た①②の組は、見た目について考える回数はやせる系の組と同じくらいでしたが、その考えが前向きなものになっていました。また、体の働きをありがたく思う気持ちが、この2つの組でだけ高まっていました。

Schönhalsら / オスナブリュック大学(2026)[2]

ドイツの女性143人が7日間、SNSを使うたびにスマホで、見た投稿の種類と気分を記録しました。体を鍛える投稿や、やせることをすすめる投稿を見た直後は、見なかったときより幸せな気分が低く、体への不満が強くなっていました。この結びつきの間には、「自分より体型のよい人と比べた」程度が入っていました。体の働きに目を向ける投稿を見た直後だけ、体を大切に思う気持ちが高くなっていました。

対象: ドイツの18〜53歳の女性143人(摂食障害があると申告した62人と、申告がない81人)。2023〜2024年 / 限界: 見た投稿の種類は本人の申告で、関連を調べた研究。投稿が気分を下げたのか、気分が沈んだときにその投稿を見たのかは分けられない。

Jiménez-Garcíaら(2025)[3]

体を肯定するSNSの投稿についての56件の研究(のべ13,442人)をまとめたレビューです。こうした投稿を見ると、直後の体への満足や気分はよくなる傾向がありました。ただし、自分の体を見張るように気にする傾向や、人と比べる傾向への効果は限られていました。

対象: 13〜78歳、参加者の96%が女性 / 限界: 研究ごとに測り方や結果の幅が大きく、長く見続けたときの効果はまだはっきりしない。

このレビューが紹介している先行研究では、やせた体を理想として強く思っている人で、体を肯定する投稿を見たあとに体への満足と気分が下がった例もありました。体を受け入れる投稿が、誰にでも同じように合うとは限らないようです。

03 まだわかっていないこと投稿を選び直せば、比べるくせは減る?

まだ結論は出ていません。紹介した実験は1回5分の動画を見た直後の結果で、フォローやおすすめの欄を変えたまま何週間も過ごした効果は、ほとんど調べられていません。

  • 研究で確かめたのは「どんな投稿を見たか」の違いで、ミュートやフォロー解除の操作そのものの効果ではありません。
  • 参加者は女性とジェンダーの多様な人が中心で、男性や10代で同じ結果になるかはわかりません。日本の人を対象にした研究ではありません。
  • 体を肯定する投稿は、気分にはよくても、人と比べる傾向そのものを減らす効果は限られていました。比べるくせを減らすには、ほかの工夫と組み合わせる必要がありそうです。
  • AIで作られたり加工されたりした体の画像に、同じ結果が当てはまるかは調べられていません。

04 今日からできるセルフケア比べて落ち込みにくいSNSにするには?

まず、見たあとに気分が沈む投稿の種類を知り、その種類を減らします。空いたところには、体の働きに目を向ける投稿や、景色・趣味など見た目と関係のない投稿を入れるのが、研究の結果に近いやり方です。

1

気分が沈む投稿の種類を3日だけメモする

SNSを閉じたとき、「何を見たか」と「気分は上がったか下がったか」を一言だけ書きます。ドイツの研究の参加者も、使うたびに同じような記録をつけていました。

目安 1回30秒、3日間

2

やせる・細さをすすめる投稿を減らす

メモで気分が下がっていた種類のアカウントは、フォローを外すか、表示を減らす設定にします。全部の見た目の投稿を消す必要はありません。

目安 1回10分

3

見た目と関係のない投稿を3つ足す

旅や景色、料理、趣味など、見た目を考えずに見られるアカウントを3つフォローします。実験では、旅の動画の組で見た目について考える回数が少なくなっていました。

目安 1回5分

4

「体を好きになろう」が苦しい日は、体の働きに目を向ける

体を肯定する投稿でかえってつらくなるときは、歩ける、眠れる、笑えるなど、体が今日してくれたことを1つ思い浮かべます。

目安 1日1回、1分

SNSで見た目を比べやすいとき、見る前に短い瞑想を聞く方法は見る前の10分の瞑想の実験に、SNSの時間を減らす方法はやめるより「減らす」にまとめています。加工した自撮りと比べてしまう仕組みは加工した自撮りと素顔の研究も参考になります。

05よくある質問

見た目に関係する投稿は、全部見ないほうがいい?

研究で気分や体への満足を下げていたのは、やせることや細さをすすめる投稿でした。体を受け入れることを伝える投稿では、見たあとの体への不満が下がっていました。見た目の投稿をすべて避けるより、どの種類の投稿で気分が沈むかを見分けるほうが、研究の結果に近い考え方です。

「自分の体を好きになろう」という投稿で、かえって苦しくなるのはおかしい?

おかしくありません。研究のまとめが紹介している先行研究では、やせた体を理想と強く思っている人で、体を肯定する投稿を見たあとに満足度と気分が下がった例がありました。そう感じるときは、体の働きに目を向ける投稿や、見た目と関係のない投稿に切り替える方法があります。

男性にも当てはまる?

まだはっきりしません。紹介した研究の参加者は女性とジェンダーの多様な人が中心で、研究のまとめでも参加者の96%が女性でした。男性で同じ結果が出るかは、ほとんど調べられていません。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Kilby, R., & Mickelson, K. D. (2025). Combating weight-stigmatization in online spaces: the impacts of body neutral, body positive, and weight-stigmatizing TikTok content on body image and mood. Frontiers in Psychiatry, 16, 1577063. https://doi.org/10.3389/fpsyt.2025.1577063
  2. Schönhals, K., Lalk, C., & Vocks, S. (2026). Fitspiration, Thinspiration, Body Positivity, and Body Neutrality Contents on Image-Based Social Media: Associations With Body Image, Mood, Self-Esteem, and Disordered Eating Behavior in Women With and Without Self-Reported Eating Disorders—An Ecological Momentary Assessment Study. International Journal of Eating Disorders, 59(4), 790. https://doi.org/10.1002/eat.70027
  3. Jiménez-García, A. M., Arias, N., Hontanaya, E. P., Sanz, A., & García-Velasco, O. (2025). Impact of body-positive social media content on body image perception. Journal of Eating Disorders, 13, 153. https://doi.org/10.1186/s40337-025-01286-y