仕事とAIの不安

仕事やAIの先行きで、心がじわじわすり減りそう。日本の働く人793人の試験では、体の動きと心の状態をスマホで記録した組で3か月後の心の負担がわずかに軽く、6か月後には差がなかった

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わかっている度 ★★☆ 中研究3本・公的指針0件を整理
木々のあいだを通る散歩道
Photo: Philip Jeffrey / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

AIの話題が増えて、「この先、自分の仕事はどうなるんだろう」という心配が、なんとなく続いている。はっきりした悩みではないのに、気持ちが少しずつすり減っていく。そんな状態を、体を動かす習慣で予防できるのでしょうか。日本の働く人を対象にした試験と、2つの研究のまとめから整理します。

3行でわかる

  1. 日本の働く人793人の試験では、体の動きと心の状態をスマホで記録した組で、3か月後の心の負担がわずかに軽くなっていましたが、6か月後には差がありませんでした。
  2. 97本のレビューをまとめた研究では、体を動かす取り組みは、気分の落ち込みや不安、心の負担を中くらい軽くしていました。
  3. 効果は続けている間に出やすく、やめると薄れる可能性があります。記録は「見すぎない」ことも大切です。

01 結論から言うと体を動かす習慣で、心のすり減りは防げる?

少し防げる可能性があります。日本の働く人の試験では、体の動きを記録して見える化した組で、3か月後の心の負担がわずかに軽くなっていました。ただし効果は小さく、6か月後には消えていました。続けている間だけ効く、と考えるのが研究に近い見方です。

ここで言う「心の負担」は、研究で「心理的苦痛」と呼ばれるものです。病気の診断ではなく、「神経が張りつめている」「気分が沈む」と感じる頻度を、6つの質問(24点満点)で測ります。AIで仕事が変わる心配のように、はっきりした原因が見えにくいストレスでも、この点数にあらわれます。

この記事は、AIの不安そのものを消す方法ではなく、心がすり減りにくい土台を体の側からつくる方法を扱います。眠りへの影響は AIの仕事の不安と睡眠の記事、昼休みの過ごし方は 昼休みもパソコンの前で食べてしまう記事 にまとめています。

02 研究とデータでわかっていること体を動かすことと、心の負担の関係は?

日本の試験では、記録を使った組で3か月後の心の負担がわずかに軽く、記録された活動時間は1日約8分増えていました。研究のまとめでも、体を動かす取り組みは心の負担を軽くし、1日の歩数が多い人ほどうつになりにくい関係がありました。

793人試験に参加した日本の働く人(18歳以上、2025年6月〜2026年1月)
約0.6点3か月後の心の負担の差(24点満点の質問票)。6か月後は差がなかった
1日約8分記録を使った組で、3か月の間に増えた活動時間(アプリで記録された307人)
19.9%記録の組で「定期的に使わなければという強いプレッシャー」を感じた人の割合(回答347人)

Watanabeら(2026年)・日本のくじ引き試験 [1]

日本全国の働く人793人を、くじ引きで2つの組に分けました。一方は、スマホが自動で記録する歩数や体の動きを見られ、AIの仕組みが体の動きから翌日の心の負担を推定し、毎朝の通知やポイントで使い続けるよう促す仕組みを3か月使いました。もう一方は、仕事のストレスを説明する14ページの小冊子を受け取りました。3か月後、記録の組のほうが心の負担の下がり方がわずかに大きく(約0.6点の差、効果の大きさは小)、6か月後には差がなくなっていました。

対象: 日本の働く人793人(休職中や、過去1年に病気で休んだ人は除く) / 限界: 仕組みを開発した研究者自身による試験で、記録の組の2割以上、小冊子の組の半数以上は配られたものを使っていませんでした。著者も「効果は小さく、短い可能性がある」としています。

Watanabeら(2026年)・何が変わったか [1]

記録の組でアプリが測った活動時間は、1週目の1日約58分から13週目の約66分へ、1日約8分増えていました。長く使った人ほど増えやすい傾向でした。一方で、質問票で答えた体の活動量は両方の組で減っていて、組の間に差はありませんでした。もともと心の負担が軽かった人では、効果がやや大きくなっていました。

対象: 同上(活動時間はアプリを使った307人) / 限界: 体を動かしたことで心の負担が軽くなったのかどうかは、この試験では確かめられていません。

Singhら(2023年)・研究のまとめのまとめ [2]

97本のシステマティックレビュー(1,039件の試験、128,119人)をまとめた研究では、体を動かす取り組みは、ふだん通りに過ごした場合と比べて、気分の落ち込み・不安・心の負担を中くらい軽くしていました。強めの運動ほど改善が大きい一方、取り組みの期間が長くなるほど効果は小さくなっていました。

対象: 健康な大人、心の不調がある人、慢性の病気がある人など / 限界: まとめたレビューの多く(77本)は質が「とても低い」と評価されています。働く人や、AIへの不安に絞った結果ではありません。

Bizzozero-Peroniら(2024年)・メタ分析 [3]

歩数を機器で測った33件の研究(18歳以上の96,173人)をまとめると、歩数が多い人ほど気分の落ち込みが少ない関係がありました。人を追いかけた研究では、1日7,000歩以上の人はそれ未満の人より、うつになる割合が約3割低く(リスク比0.69)、1日1,000歩多いごとに約1割低くなっていました(リスク比0.91、2件の研究)。

対象: 世界各地の大人 / 限界: 観察した研究のまとめで、逆の向きの関係(気分が沈むと歩かなくなる)も考えられます。

03 まだわかっていないこと記録や運動で、AIの不安そのものは減る?

そこはまだわかっていません。今回の研究が測ったのは、気分の沈みや緊張といった心の負担全体で、AIへの不安を直接測ったものではありません。日本の試験でも、効果が体を動かしたことによるのかは確かめられていません。

  • 体の動きを記録する方法が、AIで仕事が変わる心配を抱える人に特に役立つかを確かめた研究は、今回の範囲では見つかりませんでした。
  • 日本の試験で効果が6か月後に消えた理由はわかっていません。使うのをやめたからか、もともと効果が短いのかは区別できていません。
  • 記録を見ることが、かえってプレッシャーになる人がどのくらいいて、どんな人なのかは、まだ詳しく調べられていません。

04 今日からできるセルフケア心がすり減らないよう、今日からできることは?

スマホに最初から入っている歩数の記録を、週に1回だけ見ることから始めます。歩数を今より少し増やし、3か月ごとに続け方を見直します。どれもお金をかけずにできる工夫で、AIへの不安に効くと確かめたものではありません。

1

歩数の記録を、週に1回だけ見る

多くのスマホには、歩数を自動で記録する機能が最初から入っています。日本の試験では、記録の組で活動時間が少し増えていました。一方で約2割が「使わなければ」というプレッシャーを感じていたので、毎日ではなく週1回、先週の自分と比べるだけにします。

目安 週1回2分

2

1日の歩数を、今より1,000歩だけ増やす

ひと駅分歩く、昼休みに建物のまわりを歩くなど、今の生活に足せる形にします。研究のまとめでは、1日1,000歩多いごとに、うつになる割合が約1割低い関係がありました。

目安 1日10分前後

3

週に何回かは、少し息が弾む速さで歩く

研究のまとめでは、強めの運動ほど心の負担の改善が大きくなっていました。会話はできるけれど少し息が上がる程度の速歩きを、無理のない範囲で取り入れます。

目安 週2〜3回・1回10〜15分

4

3か月ごとに、続け方を見直す

日本の試験では、効果が3か月後にはあり、6か月後には消えていました。研究のまとめでも、期間が長いほど効果は小さくなっていました。季節の変わり目などに、歩く時間帯やコースを変えて飽きにくくします。

目安 3か月に1回5分

仕事以外の時間の過ごし方は 働きすぎがやめられない記事、AIの不安との付き合い方は AIに仕事を奪われそうで不安な記事 も参考になります。

05よくある質問

歩数や体の動きを記録するだけで、心の負担は軽くなる?

日本の働く人793人の試験では、体の動きと心の状態をスマホで記録する仕組みを3か月使った組で、ストレスの小冊子を配られた組より、3か月後の心の負担がわずかに軽くなっていました(24点満点の質問票で約0.6点の差)。ただし6か月後には差がなく、効果は小さく短いものでした。

運動は、気分の落ち込みや不安を軽くする?

97本のレビュー(1,039件の試験、128,119人)をまとめた研究では、体を動かす取り組みは、ふだん通りに過ごした場合と比べて、気分の落ち込み・不安・心の負担を中くらい軽くしていました。ただし、まとめたレビューの多くは質が「とても低い」と評価されていました。

1日に何歩くらい歩けばいい?

33件の研究(96,173人)のまとめでは、1日7,000歩以上の人は、それより少ない人よりうつになる割合が約3割低く、1日1,000歩多いごとに約1割低い関係がありました。観察した研究のため、歩いたことが原因とは言い切れません。今より少し増やすところから始められます。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Watanabe K, Inoue A, Sakuraya A, Imamura K, Yoshikawa T, Tsutsumi A (2026). An mHealth Intervention Promoting Physical Activity to Reduce Psychological Distress Among Workers: Randomized Controlled Trial. Journal of Medical Internet Research, 28, e96072. https://doi.org/10.2196/96072
  2. Singh B, Olds T, Curtis R, et al. (2023). Effectiveness of physical activity interventions for improving depression, anxiety and distress: an overview of systematic reviews. British Journal of Sports Medicine, 57(18), 1203-1209. https://doi.org/10.1136/bjsports-2022-106195
  3. Bizzozero-Peroni B, Díaz-Goñi V, Jiménez-López E, et al. (2024). Daily Step Count and Depression in Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis. JAMA Network Open, 7(12), e2451208. https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2024.51208