比べて落ち込む

人と比べて落ち込む日に備えたい。「大切にしていること」を書く練習は、67本の論文のまとめで幸福感を少し高めたが、SNSの写真を見た後の落ち込みには効果が分かれた

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わかっている度 ★☆☆ 低研究4本・公的指針0件を整理出典照合済み(2026-10-10)
花とコーヒーのそばで、ノートに書く手元
Photo: Shixart1985 / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

SNSを開くと、きれいな写真や、うまくいっている人の報告が次々に流れてくる。見るたびに自分が小さく思えて、閉じたあとも気分が戻らない。比べて落ち込んでから立て直すより、落ち込みにくい自分を前もって作っておけないか。心理学では、自分が大切にしていることを書いておく「自己肯定化」という方法が研究されてきました。何がわかっていて、何がまだわからないのかを整理します。

3行でわかる

  1. 自分が大切にしている価値について書く練習は、67本の論文のまとめで、自分への見方や幸福感を少し高めていました。
  2. ただし、SNSの理想的な体型の写真を見る前に書いておく実験では、落ち込みを防げた結果と、防げなかった結果に分かれています。
  3. 試すなら、見た目とは関係のない価値を選んで書くこと。比べやすい場面そのものを減らす工夫と組み合わせるのが、研究に沿った使い方です。

01 結論から言うと大切なことを書いておくと、比べて落ち込みにくくなる?

自分の大切な価値を書く練習は、幸福感などを少し高めることが研究のまとめで示されています。一方、SNSの写真と比べて落ち込むのを前もって防げるかは、実験の結果が分かれていて、まだ結論は出ていません。

人と比べて落ち込むのは、自分の価値が揺さぶられたと感じるからだ、と考えられています。研究では、こうした揺さぶりを「自己への脅威」と呼びます。

自己肯定化(セルフ・アファメーション)は、その前に、自分にとって大切なことを思い出しておく方法です。家族、友情、ユーモア、好奇心など、比べられている点とは別のところに自分の価値があると確かめておけば、揺さぶりに強くなる、という考え方です。

鏡に向かって「自分はすばらしい」と言い聞かせることとは違います。研究で使われるのは、自分の大切な価値を1つ選び、それがなぜ大切かを書く、という短い作業です。

02 研究とデータでわかっていること「大切なことを書く練習」の効果はどのくらい?

一般の人を対象にした研究のまとめでは、自分への見方や幸福感に小さいながらはっきりした効果がありました。一方、SNSの写真を見る前に書いた2つの実験では、落ち込みを一部防げた結果と、前向きな気分の低下を防げなかった結果に分かれました。

67本自己肯定化と幸福感の研究をまとめた論文の数。129の検証を含む(一般の人、2025年発表)
0.29同じまとめでの、全体的な幸福感への効果の大きさ。小さいがはっきりした効果
238人運動系SNSの写真を見る前に価値を書いた米国の女子大学生(2023年発表)。落ち込みは増えなかった
250人インフルエンサーの写真を見る前に書いた米国の大学生世代の女性(2026年発表)。前向きな気分の低下は防げなかった

Zhangら(2025年) [1]

病気の治療中ではない一般の人を対象に、自己肯定化の効果を調べた研究をまとめたメタ分析です。自分への見方(効果の大きさ0.32)、全体的な幸福感(0.29)、人との関係のよさ(0.26)が少し高まり、心のハードルは少し下がっていました(−0.22)。効果は直後だけでなく、時間がたっても見られました。大人の方が、10代より自分への見方の効果が大きくなっていました。

対象: 67本の論文に含まれる129の検証 / 限界: 効果の大きさは研究が行われた地域によっても違っていました。人と比べる場面に限った結果ではありません。

PilotとStutts(2023年) [2]

米国の女子大学生をくじで3つのグループに分けました。いちばん大切な価値について、その大切さを書いてから、運動系SNSの引きしまった体の写真を見たグループでは、体への不満と落ちこんだ気分は増えませんでした。日々の行動を書いてから同じ写真を見たグループでは、どちらも増えていました。旅行の写真を見たグループでは、どちらも減っていました。

対象: 米国の女子大学生238人(平均19.9歳) / 限界: ネット上の1回の実験で、写真を見た直後だけを調べています。著者も「一部守れる可能性がある」という表現にとどめています。

Couture BueとMeshi(2026年) [3]

米国の大学生世代の女性を、一般的な自己肯定化、体を前向きにとらえる自己肯定化、自己肯定化ではない作業の3つに分け、その後インスタグラムの投稿10件を見てもらいました。インフルエンサーの理想的な写真を見ると、どのグループでも前向きな気分と体への満足が下がりました。自己肯定化をしたグループでも防げず、体を前向きにとらえる自己肯定化は、かえって逆効果だった可能性もありました。

対象: 米国の大学生世代の女性250人 / 限界: 1回の実験です。著者は、気分の測り方の違いで結果の読み方が変わりうると述べています。

Escobar-Solerら(2023年) [4]

高校生と大学生を対象に、学校の場面で自己肯定化を試した実験をまとめました。平均の効果の大きさは0.41で、著者は「小さい」効果としています。一方で、効果が出た研究ほど発表されやすい「出版の偏り」がある可能性も示されていました。

対象: 144件の実験 / 限界: 成績や心身の健康など学校の場面での結果が中心で、SNSや人と比べる場面の結果ではありません。

03 まだわかっていないことなぜ実験によって結果が分かれた?

はっきりした理由はわかっていません。書く内容、見た写真の種類、気分の測り方が実験ごとに違いました。男性や社会人を対象に、SNSや仕事の成果と比べる場面で調べた研究は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。

  • 2つのSNSの実験は、どちらも米国の若い女性が対象で、写真を見た直後だけを調べています。毎日続けたときの効果はわかっていません。
  • 体を前向きにとらえる内容を書くと逆効果だった可能性があり、何を書くかで結果が変わるのかもしれません。
  • AIの作品や、同僚の成果と比べて落ち込む場面で試した研究は見つかりませんでした。

04 今日からできるセルフケア比べて落ち込む日に備えて、何をしておく?

見た目や成果とは関係のない、自分の大切な価値を1つ選んで書いておきます。比べやすい場面の前に読み返し、比べる場面そのものも減らします。効果は確かではないので、合わなければやめてかまいません。

1

大切な価値を1つ選び、なぜ大切かを書く

家族、友情、ユーモア、好奇心、誠実さ、創ることなどから、いちばん大切なものを1つ選びます。その価値が大切だと感じた出来事を、短く書きます。研究で使われてきたのも、この「選んで、理由を書く」形です。

目安 10分・紙1枚

2

見た目や成績とは別の価値を選ぶ

体型や能力など、比べて落ち込んでいる点そのものを肯定しようとしないことです。2026年の実験では、体を前向きにとらえる内容を書いたグループで、かえって逆効果だった可能性がありました。

目安 選ぶときに1分

3

比べやすい場面の前に読み返し、場面も減らす

SNSを開く前や、成果を報告し合う会議の前に、書いたメモを読み返します。そのうえで、見ると落ち込むアカウントは表示を減らします。2023年の実験では、旅行の写真を見たグループで、落ちこんだ気分が減っていました。

目安 読み返しは1分

SNSで比べる時間を減らしたいときは SNSの比較を「減らす」研究、比べる相手を変えたいときは 「前の自分」と比べる習慣 も参考になります。比べて自分を責めてしまったときは 自分への思いやりの練習 を紹介しています。

05よくある質問

人と比べて落ち込むのを、前もって防ぐ方法はある?

確かな方法は、まだわかっていません。自分の大切な価値を書く練習は、67本の論文のまとめで幸福感を少し高めていました。ただ、SNSの写真を見る前に書いた2つの実験では、落ち込みを防げた結果と防げなかった結果に分かれています。比べる場面を減らす工夫と組み合わせるのが現実的です。

自己肯定化(セルフ・アファメーション)とは?

自分にとって大切な価値(家族、友情、好奇心など)を選び、それがなぜ大切かを書くなどして、自分の価値を確かめる方法です。比べられている点とは別のところに自分の価値があると思い出すことで、揺さぶりに強くなると考えられています。

「自分はかわいい」「自分はできる」と書くのはだめ?

研究からは勧めにくいです。2026年の米国の実験では、体を前向きにとらえる内容を書いたグループで、理想的な写真を見たあとの気分がかえって悪くなった可能性がありました。比べている点とは関係のない価値を選ぶのが、研究で使われてきた形です。

どのくらい続ければ効果がある?

わかっていません。研究の多くは1回だけ書いてもらう実験です。研究のまとめでは、時間がたっても効果が見られたと報告されていますが、毎日続けた方がよいかを確かめた研究は見つかりませんでした。

つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。

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出典

  1. Zhang Y, Chen B, Hu X, Wang M (2025). The impact of self-affirmation interventions on well-being: A meta-analysis. American Psychologist. https://doi.org/10.1037/amp0001591
  2. Pilot IG, Stutts LA (2023). The impact of a values affirmation intervention on body dissatisfaction and negative mood in women exposed to fitspiration. Body Image, 44, 36-42. https://doi.org/10.1016/j.bodyim.2022.11.005
  3. Couture Bue AC, Meshi D (2026). The harmful effects of idealized Instagram content: Self-affirmation interventions do not mitigate decreased body satisfaction and less positive affect. Body Image, 56, 102005. https://doi.org/10.1016/j.bodyim.2025.102005
  4. Escobar-Soler C, Berrios R, Peñaloza-Díaz G, Melis-Rivera C, Caqueo-Urízar A, Ponce-Correa F, Flores J (2023). Effectiveness of Self-Affirmation Interventions in Educational Settings: A Meta-Analysis. Healthcare, 12(1), 3. https://doi.org/10.3390/healthcare12010003