考える力・集中

机に観葉植物を置けば、集中力が落ちるのを防げる?42本の研究のまとめでは、注意のテストの成績に差は見られず、はっきりした効果は気持ちや職場の満足度の側に出ていた

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わかっている度 ★☆☆ 低研究3本・公的指針0件を整理
植物が植えられた小さな鉢
Photo: Aaaatu / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査公開された研究と公的機関のデータ・指針をAIが調べて整理しました(商品の紹介や診断はしていません。出典は末尾)。

画面とチャットに向かう時間が長くなると、机に緑を置けば少しは集中が続くのでは、と考える人は多いはずです。ただ、研究をまとめると、注意のテストの成績に植物の効果ははっきり出ていませんでした。効果が見えやすかったのは、職場の満足度や、作業後のほっとする感覚のほうです。

3行でわかる

  1. 屋内の植物の研究42本を集めたまとめで、注意のテストを比べた3件(計177人)を合わせると、植物のある組とない組の差はほぼゼロでした。
  2. オランダの9つの職場の研究では、植物を置いて4か月以上たっても集中できる感覚は変わらず、満足度や空気の乾燥への不満は改善していました。
  3. 集中のための道具と期待しすぎず、気分よく座れる机づくりの一つとして置くのが、研究の結果に合った使い方です。

01 結論から言うと観葉植物で集中力の低下は防げる?

今の研究では、防げるとは言えません。注意のテストを比べた実験のまとめでは差がなく、職場での長期の研究でも、集中できる感覚は変わっていませんでした。

自然の中で過ごすと疲れた注意が回復しやすい、という考え方(注意回復理論)があります。そこから「部屋に植物を置くだけでも集中が続くのでは」と期待されてきました。

ところが、机や部屋に鉢植えを置く実験を集めると、結果はばらばらでした。効果が出た研究もあれば、植物のある組のほうが成績が低かった研究もあります。今のところは「集中力を守る方法」としては根拠が弱い、というのが正直なところです。

02 研究とデータでわかっていること植物を置いた部屋で、何が変わった?

注意のテストの成績はまとめると変わりませんでした。一方で、職場の満足度や見た目の良さ、空気の乾燥への不満、作業後のリラックスの指標には違いが出ていました。

差 −0.005植物あり・なしで注意のテストを比べた3件(米国・日本、計177人)をまとめた差の大きさ。ほぼゼロ(2022年のまとめ)
18項目中5つオランダの9つの職場で植物を置いたあと改善した項目。集中できる感覚は含まれない(2019〜2020年)
594人オランダの職場の研究で、植物を置く前の調査に答えた働く人
15分韓国の男子大学生24人が、植物の植え替えとパソコン作業をそれぞれ行った時間

Han・Ruan・Liao(2022)[1]

屋内の植物が人に与える影響を調べた42本の研究を集めたまとめです。注意のテストを比べた3件の実験(計177人)を合わせると、植物のある組とない組の差はほぼゼロで、統計的にも意味のある差ではありませんでした。

同じまとめでは、植物の世話をした生徒や植物のある教室の学生の成績を比べた2件(計119人)で成績が高く、拡張期血圧(下の血圧)も植物のある組で低くなっていました。反応の速さは植物のある組で速い傾向でしたが、差ははっきりしませんでした。

対象: 42本の研究(注意の比較は米国の2件と日本の大学生の1件) / 限界: どの比較も2〜3件の研究しか合わせられず、結果のばらつきが大きいと著者たちが書いています。参加者は学生が多くを占めていました。

de Vries・Hermans・Langers / ワーヘニンゲン大学(2023)[2]

オランダの9つの組織で、植物をたくさん置く職場と置かない職場を比べました。植物を置いた職場では、空気が乾燥しているという不満が減り、プライバシーの感覚、職場の見た目の良さ、職場への満足度が上がり、職場で悪化する体の不調を訴える人も減っていました。

一方で、集中できる感覚、ストレス、気分、仕事ぶりの自己評価など、残り13の項目には効果が見られませんでした。最後の調査は、植物を置いてから4か月以上たってから行われています。

対象: オランダの9つの組織の働く人(事前の調査に594人が回答)、2019〜2020年 / 限界: くじ引きで分けた実験ではなく、新型コロナの影響で途中から答えた人が大きく減っています。植物は空気の湿度を上げるために多めに置かれていました。

Lee ら(2015)[3]

韓国の男子大学生24人が、観葉植物の植え替えと、パソコン作業をそれぞれ15分ずつ行いました。植え替えのあとのほうが「心地よい」「落ち着く」と感じ、パソコン作業では高まっていった緊張の神経の働きが、植え替えの終わりには下がっていました。

植え替えのあとは、拡張期血圧もパソコン作業のあとより低くなっていました。眺めるだけでなく、手を動かして植物にふれる時間がほっとする時間になる可能性を示しています。

対象: 韓国の健康な男子大学生24人(平均24.9歳) / 限界: 少人数で、女性や働く大人は含まれていません。集中力そのものは測っていません。

03 まだわかっていないこと植物の数や置き場所で、結果は変わる?

まだわかっていません。植物の数、机からの距離、置く期間で効果が変わるかを調べるには、研究の数が足りないとまとめの著者たちが書いています。

  • 注意のテストを比べた研究は3件だけで、それぞれ測り方も違いました。テストの種類をそろえた研究が必要だと指摘されています。
  • 机の上に小さな鉢を1つ置く場合と、職場全体に多く置く場合で違いがあるかは、ここで整理した研究ではわかりません。
  • 植物の世話をする時間そのものの効果と、植物が視界にある効果を分けて調べた研究は少ないままです。
  • 在宅勤務の机や、AIとのやりとりが多い仕事で同じ結果になるかは調べられていません。

04 今日からできるセルフケア机の植物を、集中を守る習慣にどう生かす?

植物だけで集中を保とうとせず、休憩の合図や、手を動かすひと休みに使うのが研究に合った使い方です。部屋の明るさや換気など、効果が調べられた工夫と組み合わせます。

1

鉢植えは「休憩の合図」にする

集中を植物任せにせず、作業の区切りに画面から目を離して植物を眺める、と決めておきます。窓の外の緑でも同じように使えます。

目安 1時間に1回・1分

2

水やりや葉の手入れを、手を動かすひと休みにする

植え替えのあとに心地よさが高まった実験のように、画面から離れて植物にふれる時間をつくります。スマホは机に置いたまま行います。

目安 1日1回・3〜5分

3

植物と一緒に、明るさと空気を整える

集中への効果がより調べられているのは、部屋の明るさや換気です。窓を開ける、昼間は照明をつけるなど、机まわりの環境をまとめて見直します。

目安 作業の前に2分

部屋の空気については閉めきった部屋で頭がぼんやりする、明るさについては昼間の部屋が薄暗くて頭がぼんやりする、窓の外の緑を眺める効果は窓の外の緑を眺めると楽になる?で整理しています。机の上のスマホの置き方はスマホが近くにあるだけで集中できない?も参考になります。

05よくある質問

観葉植物を置くと、集中力が上がりますか?

今ある研究では、はっきりした効果は確かめられていません。3件の実験(計177人)のまとめでは、植物のある部屋とない部屋で注意のテストの成績に差はありませんでした。オランダの職場の研究でも、集中できる感覚に効果は見られませんでした。

造花や植物の写真でも同じですか?

この記事で整理した研究は、本物の鉢植えを使ったものです。造花や写真で同じ結果になるかは、ここで紹介した研究ではわかりません。

効果がないなら、置く意味はありませんか?

そうとも言えません。オランダの9つの職場の研究では、植物を置いた職場で、空気の乾燥への不満が減り、職場の見た目の良さや満足度が上がっていました。気分よく座れる机にする工夫として考えると、研究の結果と合います。

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出典

  1. Han, K.-T., Ruan, L.-W., & Liao, L.-S. (2022). Effects of Indoor Plants on Human Functions: A Systematic Review with Meta-Analyses. International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(12), 7454. https://doi.org/10.3390/ijerph19127454
  2. de Vries, S., Hermans, T., & Langers, F. (2023). Effects of indoor plants on office workers: a field study in multiple Dutch organizations. Frontiers in Psychology, 14, 1196106. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2023.1196106
  3. Lee, M.-S., Lee, J., Park, B.-J., & Miyazaki, Y. (2015). Interaction with indoor plants may reduce psychological and physiological stress by suppressing autonomic nervous system activity in young adults: a randomized crossover study. Journal of Physiological Anthropology, 34, 21. https://doi.org/10.1186/s40101-015-0060-8