SNSで見た目を比べて不安になるのを、日頃から減らしたい。中国の女性200人の実験では、自分にやさしい言葉を毎日読んだ組で、見た目の不安が下がり、日ごとの揺れも小さくなっていた

SNSを開くたびに、加工された顔や理想的な体が流れてくる。見るたびに自分の見た目が気になって、写真を撮るのも少し怖くなる。比べてしまうのを毎回止めるのは難しくても、日頃の習慣で不安を小さくすることはできるのでしょうか。中国で20日間ずつ記録をとった実験と、日本の女性を対象にした実験から整理します。
3行でわかる
- 中国の18〜35歳の女性200人の実験では、自分を思いやる短い文章を20日間毎日読んだ組で、SNSでの見た目の不安が下がり、日ごとの揺れも小さくなりました。
- 日本の女性158人の実験では、見た目を責める言葉を減らす言葉と、受け入れる・感謝する言葉の両方を書いた組だけで、体への不満が下がりました。
- 効果は小さめで、続くかどうかはまだわかりません。毎日1回、自分にやさしい文を読む・書く習慣は、お金をかけずに試せます。
01 結論から言うと見た目の比べすぎは、日頃の習慣で防げる?
自分を思いやる言葉にふれる習慣が、見た目の不安を小さくする可能性があります。中国の女性200人の実験では、毎日文章を読んだ組で不安が下がりました。ただし効果は小さめで、対象も若い女性に限られます。
研究で使われているのは「セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」という考え方です。つらいときに自分を責めるのではなく、友だちに向けるようなやさしさで自分に接することを指します。
SNSで自分より上に見える人と比べると落ち込みやすいしくみは SNSで上の人を見ると落ち込む理由の記事 に、見る直前にできる練習は 見る前の瞑想の記事 にまとめています。この記事は、毎日の習慣として続ける方法を扱います。
02 研究とデータでわかっていること自分にやさしい言葉で、見た目の不安は変わった?
中国の実験では、自分を思いやる文章を毎日読んだ組で、見た目の不安の平均が対照の組より下がり、日による揺れも小さくなりました。日本の実験では、責める言葉を減らす言葉と、受け入れる言葉の両方を書くと体への不満が下がりました。
Chenら(2026年)・20日間の記録 [1]
中国の女性206人が、20日間毎晩、SNSでの見た目の不安を記録し、スマホの利用時間の画面も提出しました。SNSを長く見た日は、見た目の不安も高い傾向がありました。もともと自分を思いやる傾向が強い人ほど、見た目の不安が低く、日による揺れも小さく、SNSの時間と不安の結びつきも弱めでした。人と比べやすい人ほど、見た目の不安は高めでした。
対象: 18〜35歳の女性206人 / 限界: 前の日のSNSの時間が翌日の不安を高める関係は見られず、どちらが先かははっきりしません。
Chenら(2026年)・40日間の実験 [1]
20日間記録をとったあと、くじで2組に分けました。105人は自分を思いやる文章(例:「気持ちが沈んだときは、好奇心と開かれた気持ちで自分に向き合い、今の気持ちに目を向ける」)を、95人は中立的な文章を、20日間毎日読みました。思いやりの文章を読んだ組では、見た目の不安が対照の組より約2.7点(1〜100点)余分に下がり、下がる速さも速く、日による揺れも小さくなりました。グラフでは、読んだ組の不安は30〜35点ほどで落ち着き、対照の組は35〜40点ほどでした。
対象: 18〜35歳の女性200人。文章は1つ100〜150語で10種類、読んだ声を送って提出 / 限界: SNSの利用時間は変わっていません。実験が終わったあとの追跡はなく、効果が続くかはわかりません。
Takahashiら(2025年) [2]
日本の女性に、水着で人の多い海辺にいる場面を思い浮かべてもらい、見た目への不満を一時的に高めました。そのあと「見た目を責める考えを減らす言葉」を書いた組、それに加えて「感謝・受け入れ・励ましの言葉」も書いた組、思いついたことを書いた組に分けました。両方を書いた組だけが、何もしない組より体への不満が下がり、その時点の自尊心が上がりました(効果の大きさは中くらい)。責める考えを減らす言葉だけの組では、はっきりした差はありませんでした。
対象: ネットで集めた日本の女性158人 / 限界: 1回だけの短い実験で、その場の変化しか測っていません。気分(前向き・後ろ向きの感情)には差がありませんでした。
Takahashiら(2025年)・日本の577人の調査 [2]
同じ論文の別の調査で、平均25.1歳の日本の女性577人にたずねました。自分を厳しく責める傾向が強い人ほど、見た目を重視しがちで、それを通じて見た目の悩みが多い関係がありました。意外なことに「つらいのは誰にでもあること」と考える傾向が強い人ほど、見た目の悩みも多めでした。著者らは、日本では「みんなも耐えているなら自分も頑張らなければ」という圧力になるのかもしれないと考えています。
対象: 2020年に調べた日本の女性577人 / 限界: 1回だけの調査で、原因と結果は区別できません。
Leiら(2026年) [3]
SNSで自分より上に見える人と比べることと、心の不調の関係を調べた研究のメタ分析です。相関は平均0.33でした。いちばん強かったのは、ねたみや体への不満、人からの評価への不安といった「人との比較で生まれる感情」で(0.44)、不安(0.38)、落ち込み(0.31)が続きました。年齢や文化の違いによる差は見られませんでした。
対象: 54の集団・合計3万6,583人 / 限界: 多くは1回だけの調査で、比べることが不調の原因かどうかは確かめられていません。
03 まだわかっていないことこの習慣は、誰にでも長く効く?
まだわかっていません。2つの実験はどちらも若い女性だけが対象で、効果が実験後も続くか、男性や他の年代でも同じかは調べられていません。中国の実験の効果は小さめでした。
- 中国の実験は20日間、日本の実験は約20分だけでした。何か月も続けたときの効果を調べた研究は、今回の範囲では見つかりませんでした。
- 中国の実験では、くじ分けの前に記録を20日間とっていて、その間に不安が自然に下がる傾向もありました。著者らも、より厳密な設計での確認が必要だとしています。
- AIで加工された画像や、AIが作った理想的な顔と比べる場面に限った研究は、今回の範囲では見つかりませんでした。
04 今日からできるセルフケア見た目の不安をためないための習慣は?
自分を思いやる短い文を毎日1回読みます。見た目が気になった日は、責める言葉を減らす言葉と、受け入れる言葉を両方書きます。「みんなも同じ」より「人はそれぞれ違う」と考えるほうが合う人もいます。どれも研究から考えた工夫です。
自分を思いやる短い文を、毎日1回声に出して読む
「気持ちが沈んだときは、責めずに今の気持ちに目を向ける」のような文を自分で3〜5個作り、寝る前などに1つ選んで読みます。中国の実験では、こうした文章を20日間毎日読んだ組で見た目の不安が下がりました。
目安 1日2〜3分・まず20日間
気になった日は「責める言葉を減らす言葉」と「受け入れる言葉」を両方書く
まず「人と比べなくていい」「自分を責めるのはよくない」など、責める考えをやわらげる言葉を書きます。続けて「今日も体が動いてくれた」など、感謝や受け入れの言葉も書きます。日本の実験では、両方を書いた組だけで体への不満が下がりました。
目安 1回5〜10分
「みんなも耐えている」より「人はそれぞれ違う」と言い換える
「みんなも苦しいんだから」と考えると、かえって頑張らなければと感じる人がいます。そう感じたら「人はそれぞれ違う」「自分は自分」と言い換えてみます。日本の調査では、誰にでもあることと考える傾向が強い人ほど、見た目の悩みが多めでした。
目安 気づいたときに10秒
加工した自撮りに見慣れて素顔に自信がなくなるときは 加工した自撮りと自信の記事、比べたあとに自分を責めてしまうときは 比べて自分を責めるときの記事 も参考になります。
05よくある質問
自分にやさしい言葉を読むだけで、見た目の不安は減る?
中国の18〜35歳の女性200人の実験では、自分を思いやる文章を20日間毎日読んだ組で、読まなかった組より見た目の不安が下がり、日ごとの揺れも小さくなりました。ただし差は1〜100点の尺度で約2.7点と小さめで、その後も続くかは調べられていません。
「みんなも同じように悩んでいる」と考えるのは効く?
日本の女性577人の調査では、「つらいのは誰にでもあること」と考える傾向が強い人ほど、見た目の悩みが多い関係が見られました。1回だけの調査で原因はわかりませんが、慰めよりプレッシャーになる人もいる可能性があります。
SNSを見る時間を減らせば、見た目の不安はなくなる?
中国の206人を20日間追った研究では、SNSを長く見た日に見た目の不安も高い傾向はありましたが、前の日の利用時間が翌日の不安を高める関係は見られませんでした。自分にやさしい言葉を読んだ実験でも、SNSの時間は変わらないまま不安が下がっていました。
つらい状態が2週間以上続くときや、日常生活に支障があるときは、医療機関や、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)などの相談窓口に相談できます。
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出典
- Chen R, Bai JT, Liu Y (2026). Understanding and Reducing Appearance Anxiety for Social Media Users: A Study Using Ecological Momentary Assessment and Ecological Momentary Intervention. Depression and Anxiety, 2026, 7212945. https://doi.org/10.1155/da/7212945
- Takahashi E, Fukuda R, Takahashi T, Katsuragawa T (2025). Self-compassion, well-being, and body image concern in young Japanese women: The role of positive and negative facets of self-compassion. PLOS ONE, 20(11), e0334753. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0334753
- Lei Y, Hu S, Sun Y, Zheng L (2026). "Looking up" linked to feeling down: a meta-analysis of online upward social comparison and psychological maladjustment. Frontiers in Psychology, 17, 1825169. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2026.1825169


